真保裕一著 『ブルー・ゴールド』

              2011-02-25


(作品は、真保裕一著『ブルー・ゴールド』 朝日新聞出版による。)

                 
 

 

 初出 「週刊朝日」09年7月から10年5月まで連載されたものに単行本化に際して大幅に加筆修正。
 本書 2010年(平成22年)9月刊行。


真保裕一:
 1961年東京生まれ。アニメーションディレクターを経て、91年「連鎖」で第37回江戸川乱歩賞を受賞する。 綿密な取材、堅度の高い文章から生み出される作品群は、幅広い読者の支持を獲得。96年「ホワイトアウト」で第17回吉川英治文学新人賞を、そして97年「奪取」で第10回山本周五郎賞と第50回日本推理作家協会賞を受賞する。


主な登場人物:

藪内之宏 大手総合商社葵物産からゴールド・コンサルタントに出向を命じられた28歳独身。伊比の会社の情報報告の任を負う。葵物産での上司は田伏元明。

(株)ゴールド・コンサルタント
社長 伊比大介
・高坂
・犬塚肇
・籾山百合子

(もみやま)

伊比はかって葵物産に属し、ペルー在籍中、田伏と強力タッグを組んでいたが、入札に失敗、責任を取らされてゴールド・コンサルタントを設立。
・高坂 藪内の前任者。二重スパイとして田伏から疑われる。
・犬塚 情報部主任。学生時代の前科持ち。
・籾山 個性は社員達の中でも異彩を放つ女子。

丸岡晃三朗 東京弁護士会所属の伊比の会社の顧問弁護士。
田伏元明

伊比のライバル的存在。田伏は葵物産に残り、伊比は外に出る。

米良佳美
(めらよしみ)

葵物産のライバル企業である五堂商事環境ソリューションユニットに勤務の東大法学部卒、27歳独身、元キャンパス。
藪内と似た境遇。

物語の概要:(図書館の紹介文より)

 出向先で「青い金脈」ともいわれる汚染調査の指令を受けた、若手商社マンの薮内。 水をめぐって巨大企業との死闘が始まる…。息を呑む頭脳戦&どんでん返しの連続。「水」をテーマとした社会派サスペンス長編。


読後感:

 水質を巡るデータ流出とそれを利用したゴールド・コンサルタント側と県、国を巻き込む五堂商事サイドの暗躍。データ流出にまつわる目的、行動の真意を探るなかで、葵物産という大企業の中での仕事と、名も知られない小会社での仕事に精を出す人間の迫力、姿を描写することで、サスペンスといった興味以外に、仕事の生き甲斐のようなものを感じさせる作品である。

 ゴミ焼却処理場の建設、工場を新設する為の用地確保のこと、工業団地を造る計画など、日頃自分が関与することなど薄いケースではあるが、こういう仕事に従事するような仕事を生業にする人たちの苦労を知らされたようである。 
 ちょっと今まで読んだ作品と趣が違い、新鮮な感じで楽しめた。

   


余談:
 真保裕一作品、なかなか色んな内容のものがあり、たのしめる。 最近は「発火点」を読んでいて次回取り上げたい。 テレビではフジテレビ系の「外交官・黒田康作」がおもしろい。

背景画は本作品の水の水質検査が話題になった牧場地帯をイメージして。
 

                               

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