真保裕一著 『アンダルシア』
 





                2015-09-25




   (作品は、真保裕一著 『アンダルシア』    講談社による。)

           
 

 本書 2010年(平成22年)12月刊行。

  真保裕一:(「天使の報酬」より)

 1961年東京都生まれ。アニメーションディレクターを経て、‘91年「連鎖」(講談社文庫)で第37回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。’96年に「ホワイトアウト」(新潮文庫)で吉川英治文学新人賞、‘97年には「奪取」(講談社文庫)で日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をダブル受賞、’06年「灰色の北壁」(講談社文庫)で新田次郎文学賞を受賞。他の著書に、「取引」「震源」「防壁」「朽ちた樹々の枝の下で」「黄金の島」「夢の工房」(しずれも講談社文庫)、「覇王の番人」(講談社)、「デパートへ行こう!」(講談社)など多数。近著に「ブルー・ゴールド」(朝日新聞出版)がある。

物語の概要: 図書館の紹介より

 
ヨーロッパの小国・アンドラで殺人事件発生。外務省邦人保護担当の黒田は現地に向かい、1人の日本人女性と出会う。彼女は何者なのか。疑念と共に黒田にも危険が迫り…。スペインを駆ける黒田を描く、書下ろし長編。 

主な登場人物:

黒田康作

外交官。日本国外務省一等書記官、法人保護担当領事。
密輸事件に関する日本・スペイン・フランス、ICPOの情報交換会議に出席のためバルセロナにきて、事件に巻き込まれる。

新藤結香(ゆか)

昨年の10月よりアンドラ・ビクトル銀行員、32歳。その前はフランスの銀行で働いていた。2006年までは父親の仕事の都合でスペインのマドリードで暮らしていた。
・元夫 ラモン・エスコバル 貿易商。

アンドラ国家警察

・ホルヘ・ディアス警視(54歳) 犯罪捜査部。熊のような巨体。
・アベル・バスケス警部補。犯罪捜査部。
・ホセ・ロペス刑事 バスケスの部下。

フランス国家警察 ドミニク・コルベール警視 公安部。
スペイン国家警察

・オルテス警部補。 小太りの鷲鼻。
・ヘレス大尉。 自治体で警察組織を保持できない地方都市と国家全体にわたる広域捜査や治安活動に当たる軍警察の人物。

ジャン・ロッシュ 元警官、今ではフランストゥールーズ署公安部と契約する情報提供者。
ラリー・バニオン 画商、あの絵を描いた人物。イギリス人。
ラファエル・ドミンゲス 新藤結香がスペインで起こしている、息子(エドアルド・エスコパル)の養育権めぐる裁判の弁護士。(事務所 グラナダ)
ディビッド・フェルドマン ICPO海外捜査支援局、50代の紳士。インターポールの統括官。FBIからの出向者。
外務省

・稲葉知之 外務省審議官(次期事務次官の最有力候補)。
(片岡博嗣は生憎ワシントンに出張中。)

バルセロナ領事館

・川島竜一 総領事。
・宮崎英俊 警備対策官(陸自からの出向者)。
・古賀義輔参事官。

 読後感

 バルセロナ総領事館に出張できた黒田康作が本城実咲と名乗るアンドラ公国からの女性がパスポートと財布を紛失し困っている旨の電話にアンドラに向かい、事件に巻き込まれる。アンドラという小国は独立国ではあるが、隣接するフランスとスペイン両国の影響を受け、特にフランスの属国なみの位置にある。

 本城実咲なる人物、名前は嘘、新藤結香なるも次々と真実を告げていくが謎の多い女性。どこまでが嘘でどこまでが真実か最後までわからない。そして殺人事件が起きる。
 アンドラ警察、フランス、スペインの国家警察との三つどもえに、黒田も法人保護の名の下新藤結香と行動を共にするが、果たして複雑な物語は最後まで不可思議でよくわからない。

 ところで本書を読む前に、たまたまヨーロッパ空中散歩(BSフジ)スペイン編(8)でアンダルシア地方をやっていてアンダルシア地方の草原の美しさ、アルハンブラ宮殿の様子をしっかりと見ることが出来、舞台となり、草原の中の親子の姿の絵が重要な位置を占めていることに、非常に感銘を受けたことに物語以上に関心を持てたことが喜びであった。 


参考
 外交官黒田康作シリーズ
 ・”アマルフィ” 2009年4月
 ・”天使の報酬” 2010年12月
 ・”アンダルシア” 2011年6月 刊行。
背景画はアンダルシア地方の風景。

                                          

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