物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
父がいた。母がいた。きょうだいがいた。シーナ少年が海辺の町で過ごした、家族がみんなで笑った黄金の日々…。時代を超えて胸に迫る、一族の肖像。
読後感:
最初はどういう物語かと思っていた。読後、あとがきを読んで、そういうことだったのだと納得。
要は著者(椎名誠)の生まれてから小学生時代を思い出しての出来事や感じたことを綴った物語である。そこにはなんとはなしに気にしていた家族の人たちへの疑問に感じていたこと、幸せの時間、小学校での出来事などが、時間と共に描写されると共に、次第に成長していって分かること、死を含め時の流れ、移り変わりを感じていく心境が語られている。
エピソード的には、一番幸せの時間を感じたのが、千葉の家に引っ越して一家揃って笑い声の絶えない笑顔の食卓の時だった。
その後の父親が次第に伏せってきたり、親戚を含め家族が他界していったり家を離れていったり、食卓の人数が少なくなっていくこと。
父親がぼくひとり、舟橋の魚市場に連れて行き蟹を食べさせてくれた真意が分からなかったこと。
父の葬儀に長兄に似た三人の人物の出現を疑問に思っていて、姉の嫁入りで韓国に行くことが決まってどういうことか問いただしたこと。
それとは別に、犬のジョンとの交流、猫のハチが加わって微笑ましい行動など、読み進んでいく内にたんだんと胸に迫ってくる内容である。
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