椎名誠 『家族のあしあと』



              2020-12-25


(作品は、椎名誠著 『家族のあしあと』      集英社による。)
                  
          

 初出 「すばる」2015年4月号〜2017年2月号
   (「もうじき夏が来る」のみ書き下ろし)

 本書 2017年(平成29年)7月刊行。

 椎名誠:
(「ぼくがいま、死について思うこと」より) 
 
 作家。映画監督。「本の雑誌」編集長。1944年東京生まれ。少年時代を千葉で過ごし、青年時代に沢野ひとし、木村晋介らと東京・小岩の克美荘で共同生活を送った。業界専門誌「ストアーズレポート」の編集長をつとめるかたわら、目黒考二らと共に「本の雑誌」を創刊。『さらば国分寺書店のオババ』が出版されるや大ヒットし、「昭和軽薄体」「スーパーエッセイ」という言葉を生む。テレビの紀行ドキュメンタリーやCMの出演作多数。 

主な登場人物:

ぼく(誠 マコト

生まれたのは世田谷区三軒茶屋、4年ほど在、500坪の土地。
1年くらい千葉の山奥酒々井
(しすい)、それから千葉の幕張に。100坪くらいの土地。

公認会計士。寡黙でぼくが小6に上がる前に没。

元来社交家
母の三人姉妹の真中。

姉(夏子) 生真面目な性格。
すぐ上の兄(タカシ) ぼくと6歳離れている。神経がガラスみたいな所。気むずかしい。
ぼくと6歳違い。ひょうきん者。
先妻の五人兄弟

長兄は僕たちの家に住む。父の会計士を目指す。
他の3人、息子と娘は別の土地(三軒茶屋)に暮らしている。

その他

・犬のジョン
・猫のハチ

つぐも叔父(清冶)

母の四人兄弟(三人姉妹と男)の末弟。
若い時分九州の「つぐも」に住んでいた。

柏崎の伯母さん
旦那さん

母(三人姉妹の四人兄弟)の一番上。
・旦那 「たしがわらの伯父さん。」

深川の叔母さん 母の妹。さびしがりや。
僕の学校友達

・伊藤夏実君 横浜からの転校生。洋館に住む。学校でいじめに。
・昭一 ・カッチン 家業は沿岸漁業。
・マサル ・ニシオ など

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
 
 父がいた。母がいた。きょうだいがいた。シーナ少年が海辺の町で過ごした、家族がみんなで笑った黄金の日々…。時代を超えて胸に迫る、一族の肖像。

読後感:

 最初はどういう物語かと思っていた。読後、あとがきを読んで、そういうことだったのだと納得。
 要は著者(椎名誠)の生まれてから小学生時代を思い出しての出来事や感じたことを綴った物語である。そこにはなんとはなしに気にしていた家族の人たちへの疑問に感じていたこと、幸せの時間、小学校での出来事などが、時間と共に描写されると共に、次第に成長していって分かること、死を含め時の流れ、移り変わりを感じていく心境が語られている。

 エピソード的には、一番幸せの時間を感じたのが、千葉の家に引っ越して一家揃って笑い声の絶えない笑顔の食卓の時だった。
 その後の父親が次第に伏せってきたり、親戚を含め家族が他界していったり家を離れていったり、食卓の人数が少なくなっていくこと。
 父親がぼくひとり、舟橋の魚市場に連れて行き蟹を食べさせてくれた真意が分からなかったこと。

 父の葬儀に長兄に似た三人の人物の出現を疑問に思っていて、姉の嫁入りで韓国に行くことが決まってどういうことか問いただしたこと。
 それとは別に、犬のジョンとの交流、猫のハチが加わって微笑ましい行動など、読み進んでいく内にたんだんと胸に迫ってくる内容である。


余談:

 椎名誠作品、以前に「ぼくがいま、死についておもうこと」を読んでいた。2013年10月。今から7年ほど前だ。後書きを読んでよく知られる「岳物語」の著者であることは知っていたが、なるほど「岳物語」もそういう背景があったのかと。

背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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