椎名 誠著
           『ぼくがいま、死について思うこと』



 

                    2013-10-25



(作品は、椎名 誠著 「ぼくがいま、死について思うこと」 新潮社による。)

         

 初出 「波」2011年9月号〜2012年9月号。
 本書 2013年(平成25年)4月刊行。

 椎名 誠:

 作家。映画監督。「本の雑誌」編集長。1944年東京生まれ。少年時代を千葉で過ごし、青年時代に沢野ひとし、木村晋介らと東京・小岩の克美荘で共同生活を送った。業界専門誌「ストアーズレポート」の編集長をつとめるかたわら、目黒考二らと共に「本の雑誌」を創刊。『さらば国分寺書店のオババ』が出版されるや大ヒットし、「昭和軽薄体」「スーパーエッセイ」という言葉を生む。
 テレビの紀行ドキュメンタリーやCMの出演作多数。

読後感

 “死”について思うことが最近はある。そんな時に目にした本である。期待をして読んだ。
 まず身の回りに起きた訃報の紹介があり、そして自身の死んでもおかしくない状況を強運(?)で逃れて今日に至っていることが記述されている。でもそれだけで一冊の本が成り立つとは思えない。

そうしたら著者はとにかく海外やら日本中やら、とにかく飛び歩いておられるから、それにまつわる墓のこと、埋葬の方法などが記述されている。

なるほど、“死”にまつわる話はこんなことで終わるのかなと思って途中からは駆け足で読み進む。
 そして終わりに近づいて、本論とも言うべき“死に方”に関する記述に至ったところで俄然引き込まれてしまった。

 特に「自死」に関しては共感するところが多々である。子供の“自死”しかり、年老いた時での“自死”の考え方しかり。
 なかでも若い頃の同年代の親友Nの死は、あまりに責任感を感じての死に他人が読んでも悲しすぎる。
 さて自分もどういう死をむかえたいか、改めて考えるとしようと思ったり。

  

余談:

 丁度この本と同時進行の形で陳舜臣著の「曼陀羅の人」を読んでいる。空海が遣唐使の船に乗り、留学生として唐に渡り、密教を日本に伝えるため研修をする様子を著述しているものである。ここでも仏教だけでなく、ゾロアスター教、唐でのキリスト教、イスラム教など他の宗教者との教えを体得していく様が描かれているが、椎名作品でも埋葬の仕方が色々紹介されていて、興味をそそられた。
 国により、死生観が異なっていることになるほどと感服。自分の死生観を持って生きたいもの。

背景画は、チベットでの鳥葬の様子(ネットより)。葬儀の原点かな?

                    

                          

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