北海道新聞、東京新聞、中日新聞、西日本新聞、神戸新聞に2003年10月から2004年7月に連載されたものをお夫幅に改稿、加筆したもの。
本書 2008年(平成20年)8月刊行。
重松清:
主な登場人物:
海運和尚 照雲 幸恵さん
薬師院の和尚とその息子夫婦。照雲夫婦には子供がない。 照雲とヤスさんは小さい頃から兄弟同然に育てられる。アキラを我が子と同様に接している。
読後感:
ひとり父親が子供を育てることの難しさ、周りに気心のわかった友達が居ることでどんなに頼りになり、慰められるか。いろいろな障害にぶつかりながらも、ヤスさんの直球勝負の生き方、照れながら、思っていることと反対の態度を示してしまい、もつれていく状況も、周囲の仲間の思いやりで、ほぐれていく様がさらりと描かれる、ほのぼのとした作品である。あまりにもほのぼのしずきて、なんとなく感情移入ができなくて、今までの重松清作品としっくりこない感じも否めない。
◇アキラがバツイチで健介という子供連れの由美さんを連れてヤスさんのふるさとに帰省した時のこと。ヤスさんが健介の寝顔を見ながらアキラと由美さんに言う言葉:
「親が子供にしてやらんといけんことは、たった一つしかありゃあせんのよ」 「・・・なに?」 「子供に寂しい思いをさせるな」 海になれ。 遠い昔、海雲和尚に言われたのだ。 子どもの悲しさを呑み込む、海になれ。
新刊書でたまたま新聞広告を見て、はじめて図書館に購入希望を入れたら予約の順番が早くとれ、真新しい本は折り目もつけられず固くて扱いにくかった。でも真新しい本を手にして読めるのは気持ちのいいものである。予約もいっぱいなので、早く読み終えて、メモを整理して、早く返却してあげよう。