印象に残る場面:
◇次男である山崎さんは、新潟の奥の盆地から東京に出てきたが、ふるさとに戻るつもりはない。しかし中学の同級生とのことで奥さんとふるさとについての会話。
「なあ、千穂や万里のふるさとって、どこなんだろうな」
「ここなんじゃない?」
「そうだよな、ここだよな・・・」
すべてを許してくれる人がいるんだと信じていられる場所がふるさとならば、この街の、この家を、娘たちのふるさとにしてやりたい。信じさせてやりたい。どんなに困り果ててしまっても最後の最後に帰っていける場所が、ここにあるのだと。
◇万里の結婚話について、山崎さん相手にあっていえなかったが、二度目の設定がキャンセルとなり電話で伝えた言葉。
「ひとつだけ約束してください」
―――・・・はい。
「ゆっくり、時間をかけて話し合ってください。私は待ちます。万里にも待たせます。だから・・・あなたがつくった家庭です、あなたの家庭です、最後まで責任を持って奥さんと話し合ってください。お願いします」
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