読後感:
京都府立の公立中学校で国語教師を続けながらの作家活動ということで、エッセイの中味も中学校に初めて赴任してきての日常生活のなかでの様々な感動場面が描かれている。
いかにもおっとりとして真摯で引っ込み思案だけれども案外かっこつけたがり、物怖じしない性格がかいま見られる。 そして何よりも中学生達が直接的でいて飾らない、そして優しさもあり、現代っ子風でもある好ましさが昔の中学時代を思い出させてくれて、学生時代では自分でも一番愉しい時代だったなあと懐かしく思い出される。
こんなところから「幸福な食卓」、「天国はまだ遠く」といった作品が生まれてきたのだなあと。
このエッセイに書かれている事々、まとめていえることは先生も生徒もそしてそれを感じる感性が研ぎ澄まされていることではないか。 みんながみんなそうではなかろうが、そういう人が何人かいて、それを受け入れられる人が集まっていれば、そのクラスはまとまるし感動的なクラスになろう。 どんなクラスかは、一つ一つの事象を掲げないと伝えられないのが残念。 ということでひとつだけ取り上げて下記する。こんな生徒がいるクラスを教えられるってことはやはり教師っていいなあと・・・・・。
都会の真ん中では無理なのかなあ。
印象に残る場面:
◇あとがき〜3年2組〜
卒業式の夜、謝恩会があった。ご馳走を食べてお酒を飲む。 あの2組の保護者の方との謝恩会がそんな普通なもののわけがなかった。・・・・
学校と保護者の関係って難しいこともある。 だけど、2組の保護者の方といると、生徒と一緒だと思う。 懇談会などには多数の方が参加して下さる。 行事の度に生徒へ心を送ってくださる。 保護者の方も2組としてのまとまりがある。2組がすばらしいクラスになった一番の要因はこの保護者の方々がいたからだこそだ、という話をしていたら、あるお母さんに「それは逆です」と言われた。 「子供たちが」クラスを大事にしてみんなで良くしようとしてたから、私たち保護者も一緒になってがんばれたんです」と。 どっちが先かはわからない。 でも、とにかく2組は全てにおいて温かい学級だった。
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