千田理緒 『五色の殺人者』


              2022-07-25


(作品は、千田理緒著 『五色の殺人者』    東京創元社による。)
                  
          
  
  
初出  「Web集英社文庫」2018年12月〜20年7月に連載されたものを
      加筆・修正したオリジナル文庫。
  本書  2020年(令和2年)10月刊行。


 千田理緒
(せんだ・りお)(本書による)

 1986年埼玉県生まれ。大阪府在住。大阪薫英女学院高等学校卒。介護施設に勤務ののち、現在はフリーライター。

主な登場人物:

[あずさ荘]の従業員 「あずさ荘」は小規模多機能型居宅介護施設(高齢者介護施設)

明治瑞希(みずき)
<メイ>

「あずさ荘」に来て4ヶ月の新人職員、25歳。
一見素直そうなのに、ひねくれて頑固なところある。

荒沼東子(はるこ)
<ハル>

メイと同い年。 童顔で背丈低く幼い所作。
「あずさ荘」一の跳ねっ返り者。 <メイ>と仲良し。

鈴井夏樹(なつき) 屈強な体格の男性。 姫じい殺人の第一発見者。
山上栗之助 メイより1つ年上の26歳。 おちゃらけ男。 介護経験8年。
矢口あかり 50代半ば、きびきびした女性。 「あずさ荘」唯一の看護師。
庄山操 警備員。
奥末 施設長。
[利用者]

姫野一郎<姫じい>

(木の間)に宿泊。 悪く言う人はいないが殺害される。 <姫じい>は藤原和子と確執があり、 <イツキ>を婚約者と認めていない。

末岡エイ

認知症で思い記憶障害がある。 来月102歳。 「木の間」から玄関かリビングの方に向かって赤い服を着た男性目撃と。
短期記憶は意外にハッキリしている。

藤原和子 目撃証言で白の服と。

真田(さなだ)<先生>

目撃証言で黒の服と。

村北<奥さま>

良家の出。
島谷一郎 週二回来所、頑固。
尾茂田(おもだ)澄子

訪問介護のみ、入所は拒否している。 認知症もある。
・娘 詩織 冷蔵庫内の買い物と服薬管理をしている。

藤原<イツキ>さん

藤原和子の孫。 <姫じい>の娘の桜子の婚約者。
<姫じい>に認めてもらうために、 頻繁に手土産を持参して理解をしてもらう働きかけをしている。

姫野桜子 <姫じい>の孫。
[警察関係]
近藤警部 50代。
磯(いそ)巡査部長 20代後半。 藤原イッキとは高校の時の友人。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 第30回鮎川哲也賞受賞作。 介護施設・あずき荘で働く明治瑞希は、 利用者の撲殺死体を発見する。 犯人を目撃したのは、同じく利用者である5人の老人。 しかし犯人の服色は「赤」「青」「白」「黒」「緑」と、なんとバラバラの5通りだった…。

読後感:

 高齢者介護施設の 「あずき荘」の“木の間”に宿泊していた <姫じい>こと姫野一郎が殺害され、 警察が入り犯人捜査の為、 容疑者リストに基づき聴取が行われるも、 犯人とおぼしき目撃者の服の色を巡り、 収束出来ず。さらに凶器がこれまた見つからず難航する。
「あずき荘」の職員であるハルとメイは、 同じ年頃だし、 ハルの好ましく思っている容疑者の一人である藤原のことを晴らすため、 ふたりで犯人探しを計画する。

 物語は「あずき荘」 内部での目撃者の証言を確認したり、 利用者への聴取、凶器探しに注力することになるが、犯人が、ハルとメイが犯人探しをしていることにを知り、二人の身にも犯人の手が延びてくる。
 高齢者になると眼の色感覚も衰えてくるし、認知症の問題も出てくるなど、なかなか厄介なテーマにぶつかり、ミステリーとしての味も着眼点として面白い。

 一方で、メイ探偵の方も、婚約者がいるという藤原と何となく付き合うような状態に到り、 レストランで藤原にメイの推理を語るシーンは 圧巻。
 ドンデン返しが待っていた!!!。
 登場人物欄に真相を記すのはまずかろうと・・・、止めた。


余談:

 全国の書店員さんの絶賛メッセージを見てみると、 デビュー作とは思われない、 明快かつ親しみやすい形で描かれる謎解きのおもしろさ、 これぞ王道。 ラストに明かされる謎にしてやられた。 同じ思いで楽しめた。 

背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
戻る