主な登場人物:
ミッチェル |
デビュー作が大成功を収めるが、著作権侵害が相次ぎ、自書を守ろうと必死で戦う。 |
マーシュ |
ミッチェルの夫。頑なになっていく妻を支え、ともに戦う。 |
スティーヴンズ |
ミッチェルの兄。妹とその著書を守るために、最大限の努力と知恵を捧げる弁護士。 |
コール |
ミッチェルの親友。親友と編集者という両方の立場から、ミッチェルに真摯に向き合う。 |
レイサム |
マクミラン社副社長。ミッチェルを世に出した立役者、冷徹な企業人。 |
ブレット |
同社社長。確執を経て、ミッチェルという人間に惚れ込んでいく。 |
ソーンダーズ |
外国著作権代理人。ミッチェル夫妻に巧みに近づき翻弄する。 |
セルズニック |
映画プロデューサー。映画化だけでは満足せず、続編や舞台化も目論む。 |
物語の概要:(図書館の紹介文より)
「風と共に去りぬ」は、法律が未整備の時代に翻訳権などを忍耐強く守り、著作権は95年間に延長された。原作のたどった数奇の運命を読みやすく臨場感をもって描く。世紀の名作に新たな魅力を与える1冊。
読後感:
海外の小説で「風と共に去りぬ」ほどおもしろくてのめり込んで読んだ小説はないと思っていた。それでこの「風と共に去りぬ」という小説の歴史を追ったノンフィクションを是非読んでみたいと思った。
実は「風と共に去りぬ」が書かれた時代(1936年6月刊行)が自分の生まれる以前で(南北戦争の話であるから当然と言えば当然だが)、しかもこれ一冊しか発表していないことに不思議に思っていたことから、
これを読んで納得。
知らなかったこと、驚くことがこんなにあったとは。
1936年6月に刊行してから、その年のクリスマス前までに100万部が売れ、しかも1000ページを超える長編が3ドルと言う高価にかかわらずである。
まさに超ベストセラーの作品だったのだ。しかも新人の女流作家で。
またミッチェル本人が公の場に出たりするのを嫌い、講演なんて絶対にしないと公言するほどとは。でも人物は素直でユーモアにとび、みんなに好かれる評価にはほほえましさも感じられるほど。南部女性の性格も実によく理解できた。
でも本を作ることの大変さはこの本を読んでみて改めて大変な作業であることを知ることに。内容面では南北戦争にまつわる史実に誤りがないように、物語を通してつじつまが合わないところがないか、第一章に満足な物が出来ないことに悩んでいたことなど。
もっと大変なことは、対外的なことで映画化権の契約での難しさ。外国の著作権の問題に多大な労力を費やすことになったこと。当時のことならなおさらそういう物は確立されていなかったから、いかにに大変であったかがよみとれる。
マシュー夫婦のタッグも大変なものだ。そんな色んなことがよく纏められたなあとこの作品自体にもそんな思いがした。大変な労作と言える。
でも色んなことがあったが、映画化されプレミアショウでミッチェルが感じた歓びはいかばかりであったろうか。
意外だったのが、ミッチェルは主人公のスカーレットについて憧れを抱かせるような女性ではなかった点であった。(映画のスカーレットは逆の脚本になっているが)
スカーレットの長所は勇気があることと、敗北を決して認めようとしない強気な所ぐらいのものです。短所は山ほどあります。利己的で虚栄心が強く、教養はほとんどなく、協調性もありません。人を好きになるときもうわべばかりにこだわって中身を見ようとしません。子育ては人任せですし、愛してくれる男性を破滅させます。金を儲けると決めれば手段を選ばず、詐欺や不正を行い、使用人の囚人を虐(シイタ)げます。人も殺しましたし、妹の恋人を誘惑し、自分の身体を高く売りつけて奪い取ったのですと。
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