読後感:
『人質』
「うたう警官」「警察庁から来た男」「警官の紋章」に続き、道警シリーズ第6弾「人質」に当たる。ちなみに第4弾が「巡査の休日」第5弾が「密売人」となる。
さて以前に第3弾まで読んだことがあるので、ちょっとなつかしくもあり、あのキレの良い、動きのある展開が期待され、読書もはかどった。
ただ限られた店の中での群像劇ということで、人物の名前と、関係、役割を頭に入れるのに手間取る。カタカナ名から漢字に、夫婦の関係、親族関係、仕事関係と。でも親切に整理して登場人物像が掲げてあってスッキリ。
主犯?の中島という冤罪事件の人物の気の弱さ、支援者という瀬戸口の変幻自在の態度となにやらきな臭いニオイが感じられる中、紛れ込んだことになる女性警官の小島百合への緊迫感がちょっと薄いのが気になるところであり、第3弾までの面白さに比べると若干落ちるかなの印象。残りの2つの作品も順次読んでみたい。
『巡査の休日』
読む順番は違ったけれど表題の「巡査の休日」から想像するに、警察の休日に起こる何かか、交番巡査のほのぼのとしたものを想像したが、裏切られ、ラストの方でそういうことかと納得。
裏切られるほど展開は小島百合の村瀬香里のストーカー犯人からのガード部隊、津久井、渡辺の周辺捜査部隊、一方関係なさそうな佐伯、新宮のふたりだけの特別対応斑の行動がめまぐるしく交差し、いずれ収斂するのではないかと想像できるが、なかなか収斂しないでラストに向かって驀進する。
ソーラン祭りの最後での結末は果たしていかなるものになるやら。なかなか緊張感のまま読める作品である。
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