◇物語の展開:
孤児の飛鳥は、雪降る札幌で祐也と出会い、共に暮らす中で密かな恋心を抱きはじめていた。 二人の運命と苦しい程の会いを描いた珠玉の名作。
◇読後感
この作品は1975年(もう34年も前)、「二千万円テレビ懸賞小説」に佳作入選でデビューし、ベストセラーになり、斉藤由貴主演で映画化されたそうである。
飛鳥という孤児の少女があすなろ学園から本岡家に引き取られ(養子でなく)ひどくいじめられた結果飛び出し、裕也に育てられることでゆがんだ(?)心が次第に周囲の温かい心と順子という友達によって支えられ大きくなって幸せをつかんでいくハッピーエンドの小説家と思いきや・・・。飛鳥なる少女の本岡家に対する反発、本岡家の人間との運命、意固地な性格、純粋な感情、心の揺れ、さらに殺人事件まで絡み、ぐんぐんと読者を引きつけていく。
飛鳥を取り巻く裕也と史郎の取り合わせ、厚子さんとの心を通い合わせながら、裕也への思慕と叶わぬ恋の行く末、生き様、初めての友達の順子との生き方、物事への対処の仕方の違い、トキさんの態度と飛鳥の反応、管理人のおじさんのやさしさ、そして人生の中での別れなど色んな生き方が北海道、雪そして童話<森は生きている>の世界を織り交ぜて描かれている。
新しい魅力のある作家にまたひとり出会えたかなとの思い。
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