読後感:
最初本の表紙を見てうんっと思う。ひょっとして自分の肌に合わない内容?
はたしてそんな感じもしないでもなかったが、
章立てが第一章が現在の時点で、章がますごとに過去の時点に進んでいき、謎が次第に解明されていくと共に、各章の語りがそれぞれ変わっていく手法が取られ、多角的に捕らえるのに役立っている。
内容は親と子(娘)のあってはならない関係の出来事で人殺しを犯してしまう二人、
大塩じいさんの言う言葉「世の中にはな、してはならんことがある。越えてはならん線がある。神様が決めたんだョォ」が印象的。
でもなんとなく二人の関係に不快感が湧かないのは、背景の北の大地紋別のオホーツクの海の描写が不思議とやるせなさ、心のすさみ、人間の弱みなど人の感情を包み込んでくれる風土が覆い込んでくれるからか。そして花の生まれきて両親兄妹と経験したことのない死別をしてひとりぼっちになった環境への同情も。
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