大崎梢著 『キミは知らない』




 



                 2011-10-25



(作品は、大崎梢著 『キミは知らない』 幻冬舎による。)

        
  

 初出 「ポンツーン」2010年1月号から12月号の連載に加筆・修正したもの。
 本書 2011年(平成年)5月刊行。

大崎梢:

 東京都生まれ、2006年 「配達赤ずきん成風堂書店事件メモ」 で作家デビューし、児童書から一般書まで幅広く活躍。 著書に 「天才探偵Sen」、「平台がお待ちかね」、「夏のグジラ」 など多数。

物語の概要:図書館の紹介より

    突然消えた気になる先生を追いかけて、たどり着いたのは因習残る田舎町。 次々に降りかかる事件は、やがて隠された過去と父が遺した謎へと迫り…。 超巻き込まれ型、ドラマチックミステリー。


主な登場人物:

水島悠奈(主人公)
父 保彦
母 純子

横浜の私立の女子校2年生。 父親の残したスケジュール帳を調べ死亡原因を調べに平富町を訪れ、事件に巻き込まれる。
父親は12年前ロッジの火災で亡くなる、30歳。 その時悠奈5歳。S大学勤務。
母親は学生向けの海外留学を斡旋する会社に勤める。

津田先生 悠奈の学校に非常勤の数学の講師で。 2ヶ月ほどで突然姿を消す。荷物の送り先が平富町岡本。 本当は日本古来の宗教や神道に興味を持ち独学で勉強している。
津田美里 ロッジの火災でなくなったもう一人の女性。 21歳、M大学3年生。

前原千穂
妹 聖美
(きよみ)
・タカ
・レン
・マキ

平富市岡本で大人の店「エフ」で知り合う。
聖美は悠奈と同じ高2、悠奈がひとりで岡本に来た時に知り合い、「エフ」に連れて行く。
「エフ」に三人組(タカ、レン、マキ)がいて、その後も関わってくる。 タカは先生の筈だが、講師の時と違う知らない人のよう。
・レンは滝巳に恩がある。
・マキは大公路誠太郎(大旦那)のパシリをやっている。

大公路誠太郎
(大旦那)
大公路家の当主、75歳。

東山滝巳(たきみ)

誠太郎さんの懐刀。 大公路家からの信任が厚い。
志摩 大公路家に仕えている女性。 悠奈は大事な人と蜂に襲われた時も身を投げ出して助ける。
大公路家の従僕 大公路家に使える恐ぁい男たち(佃、浅草、深川)。 千穂と悠奈でロッジを訪れた時、黒い車で悠奈を拉致する。

背景:
 日次村には特別な二つの家があり、東山家と西園家。 西園家は巫女の家系であるが血筋が途切れ今はもうない。 現在村の神事の一切を東山家が担っている。 大公路家は地主で資産家のパトロン的存在。 大公路家を味方にしておくことが有利。

読後感:

 最初は女子高生と冴えない講師との交流から、突然姿を消した津田先生が父親の残したスケジュール帳の住所と先生の荷物の送り先と同じだったところから疑問を持ち、訪ねることになった悠奈の事件旅。 なかなか登場してくる人物が自分にとって味方なのか、敵なのかが判らないまま次々に事件に巻き込まれていくため、悠奈自身と同じく何がなんだかよく分からないまま、事件に巻き込まれたまま流されていくようである。


 若い高校生ひとり、心細くもありただ先生との図書室での会話から、再びあった時の姿がこれがあの先生かという思いに心配になってきながらも、翻弄される事件に先生だけが頼りと思うようになっていく。

 ただ悠奈自身は津田美里のゆかりがあるのか、沢山の人に大切に扱われていることが救いで、最後の方では狙われることになるが、次第に真相が分かって来るに従いそういうことだったのかと納得。
 ただ、ミステリー作品という所から以上の感動や、後に残るものは起こらなかったのが残念。
余談:
 このHPの原稿を作成している時は作品を読んで1,2ヶ月経った後なので、背景画を考える時もう一度思い出しながら関係するようなものを工夫する。 そんな時思い出して思わず懐かしんでしまう。 そんな作品の原稿を作成する時はまた幸せを感じる。 さてこの作品はどうだったかしら。
 背景画は、本の表紙を利用して。