逢坂 剛著  『あでやかな落日』




                   
2009-06-25



(作品は、逢坂 剛著 『あでやかな落日』 毎日新聞社による。)

            

初出 「サンデー毎日」96年1月〜97年3月号
本書 1997年7月刊行

逢坂剛:
 

 1943年東京生まれ、挿絵画家の中一弥の息子。幼少期に母が病死し、父子家庭で育つ。中央大学法学部卒、博報堂に勤務する傍ら執筆活動。1997年31年勤めた同社を退社し、作家となる。ギターとフラメンコをこよなく愛する。


物語の概要

 

岡坂神策(私) 現代調査研究所所長。要はなんでも屋。セントラル広告からオウロラ電機の大型システムコンポのイメードキャラクターの発掘とPR業務の支援を依頼される。
香華ハルナ 無名のクラシックギタリスト。個性的性格、果たしてアウロラ電機のイメージキャラクターに起用されるか・・・。生い立ちは不明。
塔野響子 ギターショップ《モデラート》の経営者。香華ハルナのマネージャー。
佐竹武典 大手の総合広告会社セントラル広告の幹部社員。岡坂とは付き合って5年になる。
岸岡美帆子

アウロラ電機(セントラル広告にとっては最重要顧客)の広報部主任。香華ハルナ起用の支援理解者でもある。

アウロラ電機:オーディオ機器に関しては業界でもトップクラスの老舗メーカー。
河西薫 興和恒産営業課長。バックに暴力団。岡坂との奇妙な関係。
藻塩さぎり 電友社営業、ディレクター。河西薫とは奇妙な関係あり。
菅野信夫 バー《ヘンデル》のマスター。岡坂がよく利用している。
赤星元一 業界紙《アドマン》の主筆。

補足: アウロラ電機のライバル八島家電、 広告に関してはセントラル広告に対して東亜アドがそれ。 広告会社は扱う相手に対して秘密が漏れないように注意をしなければならない

読後感:

 今回は広告業界の熾烈な戦いをテーマにしたサスペンスといったもの。読み出して気を引いたのは展開する場所の一部が東京の都営地下鉄内幸町駅が関係していること(ここは6年ほど通勤の降車駅であった)、話題になっているのがシステムコンポの音響製品であること(会社に入っての大きな部分をオーディオ関係の製品作りに関わっていた)と、さらに最近ヴァイオリンやギターに関することに興味を覚えていたところであったため、非常に興味を持って読んでしまつた。
 
 ただ、アウロラ電機が大型システムコンポに時代の復興をかけて取り組むという話には、とてもついていけないなあとガッカリすることはいなめなかつた。

 本書の広告では大手家電メーカーの極秘プロジェクトが、業界紙にすっぱ抜かれた―――つややかで小粋な都会の匂いに満ちた、極上の岡坂神策シリーズとあったが、まあそんな感じか。

  

余談:

パラドル テレビのバラエティ番組を中心に活躍のアイドル。森口博子とか松本明子など。
ヘビメタ 音楽のジャンルの一つ。1970年代ハードロックの流れをくむ。80年代でのロックの傾向。
 などのxx年代の用語(テレビとかxx業界)の意味がわからなかったり、女性の服装がきちんと表現されていたり・・・よく知っているなあと。 ワインやカクテルの名前など勉強になりました。


背景画はクラシックギターの名品とかロマニオス 1970製のカタログを利用。

                    

                          

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