読後感:
日本に裁判員制度が2009年(平成21年)5月から開始される予定であるが、この物語は裁判がいかになされていくのかを、具体的事件で展開するので、多いに参考になる。その中では、アメリカ・イギリスでの陪審制、フランス・ドイツで行われている陪審制についても述べられている。
また、よくドラマや推理小説などの場合の違いなども記されていて、実際の裁判のことがよく判る。そして裁判官、検事、弁護士の個々の確執、人となり、役割分担の実際など、非常に興味深く語られている。しかも、事件の展開が推理小説もどきの面白さもあり、グイグイ引き込まれていく。
裁判官に対する心証がいかに大切か、裁判官によっていかに判断が変わる恐れがあるか、取り調べる人間の精度の問題、自白の信憑性など、小さな事件とはいえ、殺人が絡む裁判ゆえに、ちょっとしたこと(どちら側に情がいくか)で判決は多いに変わりうる恐れを感ぜずにはいられない。
また、判決の結果、被告が判決の結果で違った精神状態に陥ったこと、どうしても隠し通さずにはいられないことがあったことが出てくる場面はなんとも痛ましい。
・判決のよりどころの個所は参考になった。
・未拘留日数の算入とか、訴訟費用の負担とか日頃疑問に思っていることも参考になった。
・2年から4年の不定期刑の意味、判決時の20才以前か否かの刑の意味合いなど多々参考になった。
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