恩田陸 『薔薇のなかの蛇』


              2022-08-25


(作品は、恩田陸著 『薔薇の中の蛇』    講談社による。)
                  
          
  
  
初出  「メフィスト」
       2007年5月号・9月号
       2008年1月号・5月号・9月号
       2009年1月号・2009年Vol.1・Vol.2・Vol.3
       2010年Vol.1
       2011年Vol.1・Vol.3
       2012年Vol.1・Vol.2・Vol.3
       2016年Vol.2・Vol.3
       2017年Vol.3
       2018年Vol.1・Vol.3
       2020年Vol.2 
      単行本化に当たり、加筆・修正。
  本書  2021年(令和3年)5月刊行。


 恩田陸
(おんだ・りく)(本書による)

 1992年、日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。
 2005年「夜のピクニック」で吉川英治文学新人賞、本屋大賞を、2006年「ユージニア」で日本推理作家協会賞を、2007年「中庭の出来事」で山本周五郎賞をそれぞれ受賞した。 2017年「蜜蜂と遠雷」でダイ156回直木賞と第14回本屋大賞を受賞。
 

主な登場人物:

[レミントン家] どちらかというと権謀術数うごめく生臭い一族。
オズワルド・レミントン 独裁者の親父。 太った年寄りの猫に似ている男。 大雑把で強引。 同族会社の経営者。
アーサー 兄。この小説の語り手に当たる。 大学院からS研究所(国の情報機関)に就職先決まっている。 とってもニュートラルな人。
ディヴィット 次兄。 どちらかというと父親に価値観が近い。
エミリア 上の妹。
アリス 下の妹。 大学で考古学専攻、エーゲ海のほとりで遺跡調査中。
キース

栗色の天然パーマのスタジオミュージシャン。
年の離れたいとこ。50近い。

アレン叔父 歴史学者、しかも庶民の生活史が専門の変わり種。
ロバート叔父 オズワルドが兄、ロバートが弟。 几帳面かつ癇性。同族会社の常務。

リセ・ミズノ
<理瀬>

アリスの友人。美術史を研究。 禍々しいばかりの美しさ。
理瀬シリーズの人物。

アマンダ エミリアの大学の友人。
ジェニー エミリアの大学の友人。
マクラーレン警部補 スコットランドヤードの警官。 灰色の髪と灰色の目。 学者タイプ。
ハミルトン刑事 同。アフリカ系の、長身でハンサム。
ヨハン 謎の人物。
ヨハンと事件についての解説を行っている。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
 
 英国へ留学中のリセは、友人のアリスから「ブラックローズハウス」と呼ばれる薔薇をかたどった館のパーティに招かれる。 折しもその近くでは、首と胴体が切断された遺体が見つかり「祭壇殺人事件」と名付けられた謎めいた事件が起きていた…。

読後感:

 レミントン一家はここ10年、誰もほとんど住んでいない片田舎の豪邸(私有地)「ブラックローズハウス」に、当主から、自身の誕生祝いに「聖杯」を披露するのではとの噂もあり、一家とそれとは別の部外者も招待され、そして「祭壇殺人事件」が起こる。
 実は当主のオズワルド・レミントン氏宛には“聖なる魚”と称する脅迫状が届いていた。
「ブラックローズハウス」は五弁の薔薇をイメージした北の館、東、西、羊、魚の五つの建物(内、西の建物は焼失し、池となっている)が離れて位置している。 そして消失時従業員が閉じこめられてなくなったという経緯が存在しているいわく付きの屋敷である。

 かくて誕生日の前日の夜、事件が起き、客たちは警察により、「ブラックローズハウス」に閉じこめられ、事件の解決までの状況が展開することに。
 レミントン一家の兄弟姉妹たちと、姉妹たちが呼び寄せた友人たちの中に犯人が混じっているようで、誰が怪しいのかは混沌としている。割とまともなアーサーとアリスは安心していられそうだが・・・。

 実はこの私有地の隣のE村で第一の「祭壇殺人事件」が存在し、連続殺人事件かの予想も。
 作中のはじめとラストにヨハンと男の会話があり、事件の状況を語り合っている場面があり、ちょっと説明不足で不満も。
[理瀬]シリーズ17年目と帯文に。 余談でその点を調べてみた。


余談:

 本書小説に関して疑問点を調べた。

    1.ゴシック小説とは?

「ゴシック」とは、主に12世紀後半から15世紀にかけての、中世ヨーロッパの建築様式や、美術を表した言葉。
ゴシック小説とは、そんな中世の芸術を背景にした作品のことです。

2.理瀬シリーズのこと。 (出典:「花緒の読書日和」より)
 1. 三月は深き紅の淵を
 2.  麦の海に沈む果実
 3.  睡蓮(短編、以下の2冊に収録)
   1. 蜜の眠り
   2. 図書室の海
 4.  黒と茶の幻想 上・下
 5.  水晶の夜、翡翠の朝(短編、以下の3冊に収録)
   1. 殺人鬼の放課後
   2. 朝日のようにさわやかに
   3. 青に捧げる悪夢
 6.  黄昏の百合の骨
 7.  麦の海に浮かぶ檻(短編、以下の2冊に収録)
   1. 謎の館へようこそ 黒
   2.歩道橋シネマ
 8.  薔薇のなかの蛇

『理瀬』シリーズは現在(2022年)までに長編5作、短編3作の計8作が刊行されています。

背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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