物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
都下郊外の大型商業施設において重大事故が発生。多数の被害者、目撃者が召還されるが、ことごとく食い違う証言。そもそも本当に事故なのか?Q&Aだけで進行する著者の真骨頂。
読後感:
2月11日午後、旭が丘ニュータウンのMショッピングセンターで起きた多くの死者を出した事故(?)について、その原因が判らない状態で様々な噂がある。
本作品はその時遭遇した人、周囲の人などに、事件の全体像を掴もうとインタビューをしたときのQ&Aを紡いで展開する、今まであまり経験したことのないストーリー作品であることが驚き。
前半はこの事件の全体像を掴むことで犯人捜しはこの調査の優先順位は低いとして、1階から4階でのその時起きていた状況がやり取りの中で判ってくる。後半になってくると少し様子が変わってくる。加害者は国に守られるのに、被害者は戦わねばならないとか、消防士の男性の経験したことによるPTSDの結果とんでもない結果が。
タクシー運転手がこの事件の元調査員で、退職してタクシー運転手をやりながら、政府陰謀説を吹聴していたりと。
時代は変わり、事故の跡地に新しく立った新しい複合型ショッピングセンターを前に、タクシー運転手の友人とMの近くのマンションに住む人がその様子を眺めながら宗教団体の行動を眺めてのやり取り。
軌跡の子として生き残った女の子を教祖として、その宗教団体が内部分裂を起こそうとしている。
一体この作品は何なんだろうと思ってしまう。
解説(森川嘉一郎 建築学者)を拠り所にしようとしたら、内容はショッピングセンターを舞台にしたサスペンスは、ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」を古典原典として、これまで小説からテレビゲームまで、様々なオマージュや派生作品が生まれている。というくだりからフィクションが現実を模倣するのではなく、現実がフィクションを模倣する時代である。「ハルマゲドン願望」とかオウム真理教、「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」「北斗の拳」「AKIRA」、さらに宮崎駿の「風の谷のナウシカ」にいたるまで、幅広く見受けられる構造だった云々と続く。
この解説、よくわからなくて脱帽。
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