岡崎琢磨著 
                 『珈琲店タレーランの事件簿』
                                      




                      2013-03-25


(作品は、岡崎琢磨著『珈琲店タレーランの事件簿』  宝島社による)

              

 第10回『このミステリーがすごい!』大賞最終候補作品、『また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』を改題・加筆修正。
本書 2012年(平成24年)8月刊行。

 岡崎琢磨:(本書より抜粋)

 1986年福岡県生まれ京都大学法学部卒業第10回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として、本作でデビュー。現在は寺院勤務。

主な登場人物:

主人公の僕
(青山大和)
コーヒー好きの青年、今年22歳に。その実態は?
切間美里

僕より1つ年上。京都珈琲店<タレーラン>のバリスタ。
推理の特技の持ち主。過去に何らかの秘密がある様子。

虎谷真美
(とらやまみ)
大学の柔道サークルのメンバー。僕を勧誘、半年前まで2年間付き合っていた元彼女。
戸部奈美子 虎谷真美の親友で恋人以上に密な関係。
小須田リカ 僕の母方の遠縁に当たる、帰国子女。この春京都の大学に。

水山晶子
(みずやましょうこ)

美里と同じ大学の同期、美里は2年制、晶子は4年制でバイトで留年中。

胡内波和
(こないなみかず)

美里の知り合い、僕に美里のことについて何があったのかを告げる。

補足:バリスタの呼称はワインのソムリエ、カクテルのバーテンダー同様コーヒーの専門的職人をいう。

読後感:

 ミステリーのテーマはごくありふれた日常の出来事、謎を解くのは珈琲店<タレーラン>の店員で珈琲のバリスタ切間美星。話し相手といえるか、問題提供の張本人は主人公の僕。

 何気ない日常での出来事に対する謎解きという点では北村薫の作品が代表的でその辺りに比べるとちょっと物足りないかなと。
 だがそんな推理話だけでなく、切り間美里自身の謎、主人公との間の関係が興味深い。そして主人公と元彼女との関係もなかなか興味深いところである。そんな登場人物のキャラクターがこの小説をおもしろくしている。

 解説を見ると「このミステリーがすごい!」に応募の作品で受賞こそしなかったが評価が高かった作品らしく、若い作家のようなのでこれからも期待したい。

  
余談:

 コーヒーを呑まない自分ではあるが、ドラマとか小説なんかに出てくる色々なコーヒー用語の解説としても大変興味があった。 

背景画は、イメージとして京都三条の珈琲店(スマートコーヒー店)のフォトより。