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額賀澪著 『潮風エスケープ』









                  
2022-11-25

(作品は、額賀澪著 『潮風エスケープ』        中央公論社による。)

             


本書  2017年(平成29年)7月刊行。書き下ろし作品。

 額賀澪(ぬかが・みお)本書より

 1990年、茨城県行方市生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒。2015年「屋上のウインドノーツ」で第22回松本清張賞、「ヒトリコ」で第16回小学館文庫小説賞を受賞。この2作で2015年6月に同時デビューを果たし話題を呼ぶ。著書に「タスキメシ」「さよならクリームソーダ」「君はレフティ」がある。

 主な登場人物:
[紫峰大学附属高校]

多和田深冬

紫峰大学附属高校野生徒。家業が嫌いで、両親がうっとおしくて、家を離れ寮生活をしている。
紫峰大学人文学科江原ゼミに出入りし、優弥先輩が好き。
多和田家は有限会社多和田農場を営む農家。

三河真澄 高校の仲良し同級生。柔道馬鹿。
[紫峰大学]
潮田優弥(ゆうや)

2年生、人文学部人文学科哲学専攻。江原ゼミの研究生は3名。
潮見島出身。

神尾将大(まさひろ) 2年生。
長岡玲子 1年生。
江原秀夫 江原ゼミの教授。
[潮見島の住民]

潮見島は、遠く離れた島民200人ほどの南の島。
12年に一度の潮祭が行われる。

内間憲(けん) 潮美島離島留学センターを営む。
留学生

島の外からやってきて生活、島内の小・中学に通う。
・浜崎貴樹
(たかき) 中三。
・柳川輝美 ショートカット。
・富永美夏
(みか) 三つ編み

花城慧(さとし)

島の外、本土に通う高校一年生。
島には小学校と中学校までしかない。

汐谷柑奈(かんな)

中学三年生、15歳。
今回の神女
(しんじょ)の役を務めるつもり。

渚優美(ゆみ)
<本名 汐谷渚>

12年前潮祭の直前島を出、その後東京で化粧品のイメージモデルとして活躍中。
潮田八重 潮田優弥の祖母。神司(かみつかさ)
 物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
 
 高校生の深冬は、思いを寄せる優弥とともに、彼の故郷・潮見島を訪れる。深冬は、「潮祭」の神女となるために自分の未来を捨てた少女・柑奈と出会う。少女たちの思いが交錯するとき、12年に1度の島の祭りが始まる。心を揺さぶる青春小説。
 
 読後感:
 
 主人公の多和田深冬は高校生で、学校の方針で大学の研究室の江原ゼミに参加している。
 それというのも、学校での友達づきあいになじめず、それに江原ゼミの潮田優弥先輩が深冬をよくかまってくれるからもある。
 夏休み、ゼミの夏休みの合宿のフィールドワークで、南の島、潮見島に出かけることに参加することに。

 島は“神様の島”でもあり、潮田優弥の出身地でもあった。潮見島での潮祭をめぐる様々な葛藤が展開する。
 深冬の悩み、神女となることを目指している汐谷柑奈の悩み、姉の汐谷渚の思い、そして潮田優弥の迷い、それらが互いの思いをぶつけたり、反発したりして、12年に一度行われる潮祭が執り行われていく。
 自分の思い通りに生きたい、一方で伝統を絶やしたくない、続けていきたいとの、家族の思い、島民の思いに、どちらがいいか決めることは出来ないという迷いを背負いながら、潮祭が終わる頃には、晴れ晴れとした決意を秘め、時が流れていく。

 姉妹の渚と柑奈の、お互いを思っていたことが、深冬を通して伝えられたり、優弥を好きと公言する深冬が、優弥の思っているのが渚であることを知って涙する冬美の姿。
 柑奈を嫌う深冬も、柑奈と嫌みの言い合いをしながら、次第に柑奈の迷いに手を差し出す姿。深冬の物怖じしない、辛らつな言葉を吐く割に、裏表のない、開けっぴろげな性格が好ましい。


余談:

補足として:潮見島のしきたり
 神女
(しんじょ):12年に一度執り行われる潮祭(うしおまつり)の神職者。            資格として、13歳から17歳くらいの女性で、生まれ育ってから一度も
      島から出たことがない人。
 神司
(かみつかさ):神女を束ねるリーダーみたいな存在。
      神司になれるのは、島に大昔から住んでいる潮田家と汐谷家の世襲制。
 祭司
(さいし):神司の男は神司を補助する役目を負う。 

 

                    

                          

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