<主な登場人物>
音道貴子 |
この秋巡査部長に昇進、これまで数年間警視長刑事部機動捜査隊にいたが、隅田川東警察署刑事課強行犯係に配属のバツイチの女刑事。レイプされる寸前までの経験あり。 |
羽場昂一 |
自称“椅子職人”。ほとんど独りでデザインから製作まで請け負う。音道貴子の恋人?。お互い結婚するという所まではいかない? |
藪内奈苗 |
隅田川東署刑事課の鑑識の係員、警部補。快活で気さくなタイプで、貴子とも気が合う。 |
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滝沢保
(「木綿の部屋」)
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警視長刑事部時代に「凍える牙」の事件での相方。貴子にとって相性は最悪、出来れば離れていたい相手。たまたまの飲み会の場所で滝沢を滝沢の娘の家に送り届ける羽目になる。 |
玉城警部補
(「その夜の二人」)
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貴子の相方、40前後、京都大農学部出身のノンキャリア。一寸した変わり者。見た目は猛々しい雰囲気だが、きめ細やかな優しい考え方の持ち主。 |
沢木警部補
(「残りの春」)
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キャリアの警部補、研修中。貴子より一回りくらい年下の、貴子の上役。長くて2ヶ月、何ごともなくお戻りいただければよいと隅田川東署都築課長。実に頼りない小僧っ子。 |
<作品の概要>
このほど晴れて巡査部長に昇進。それに伴って警視長第三機動捜査隊から隅田川東署に異動した、ご存知・女刑事・音道貴子。バツイチ、34歳、ステディあり。新天地の下町で、個性派の同僚達に揉まれながら四つの奇妙な事件に挑む、超人気シリーズ第三弾。
<読後感>
音道貴子という女刑事のキャラクターがこの作品の魅力である。 話題はそんなに推理小説風でもミステリー風でもなく、ごく身近に起こる内容なだけに親近感が湧くというもの。
なかでも相方とのやりとりにはほほえましさと嘆き具合が伝わってきてにやりとしてしまう。
「木綿の部屋」では「凍える牙」や「鎖」に出てくる滝沢保が出てくる。 滝沢の娘夫婦の間のどろどろした関係があぶりだされて、貴子がなんで一緒に付き合わねばならないのかと。 早くその場から引き揚げられないでいる様子が滑稽でもあり、滝沢という人間の、反面として育った娘の妻の立場の生き様はちょっと切なく思われてしまう。
「嗤う闇」は作品の表題に採用されており、女性の連続レイプ事件を扱っているが、テーマは深刻なものだが、深刻すぎる風には深入りせず、知能犯担当の若い刑事とのやりとり、貴子の恋人羽場昂一とのやりとりでさわやかに処理されていて楽しめる。
それにしても、昼間よりもほとんどのトラブルが夜間とか夜勤での出来事でこんな職場じゃ大変だなあと思わざるを得ない。かわいそう。
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