主な登場人物:
早川猛(たける)
(父親 勇)
|
弟。好き勝手に家を飛び出し、東京でカメラの仕事で成功し、母の葬儀には外国にいて出ずじまい。一周忌に戻ってくる。 |
早川稔(みのる)
(父親 勇)
|
兄。母から受け継いだらしいこらえ性の人間。智恵子からは本当にいい人と言われる一方で、智恵子は稔の本当の姿を感じている。「あの人はちょっと鈍いくらいと思われているけれど、鈍いんじゃない。鈍い振りをするのが天才的に旨いのです」と。 |
早川勇 |
稔、猛の父親。東京の大学卒業後、つきつぎと職を変え、最後は家業のガソリンスタンドを継ぐ。 |
早川修 |
勇の兄。東京で個人の法律事務所を営む弁護士。猛から兄の弁護を引き受けるよう依頼される。 |
川端智恵子
(28歳) |
幼い頃猛や稔と遊ぶ。猛から“お前は意思ってものが無くておもしろみがない女”と言い放たれ猛は東京に。4年前からスタンドで働き、稔の嫁にと期待されているが・・・。 |
洋平 |
ガソリンスタンドのアルバイトの兄ちゃん。後に正規従業員として働く。 |
物語の概要:(図書館の紹介文より)
東京でカメラマンとして活躍する弟。実家で家業と父親の世話に明け暮れる兄。対照的な2人は互いを尊敬していたが…。ある吊り橋で起こった事件をきっかけに生じた、兄弟の葛藤を描く話題作を、監督自らが小説化。
読後感:
読み終わってこの作品、何か話題がありそうでネットを調べてみたらやはり。2006年に監督、脚本を書き映画化されていて、その後小説になったようであった。
兄弟のわだかまり、心の奥に潜む嫉妬、でも上辺はすごく優しさと謙虚さに包まれ、煩わしさを全て背負わされて生きる兄。一方弟は父親には叱られっぱなし、常に怒鳴られて育って家を飛び出して東京に。好き勝手にカメラの世界で成功して母の一周忌に実家に帰ってくる。
兄弟のわだかまりというのは、自分の身にとってもなかなか身近に感じる問題で、この事件の成り行きに興味がシンシン。
兄の稔と川端美智子との間に起きる吊り橋の上での事件が裁判で進行する中で、果たして兄の行動、弟の行動がどう展開していくのか。
スタンドのアルバイトで働いていて、その後正社員となっている洋平の言葉が弟を責める。
そして結末は・・・。
人間の心理、女性の敏感さ、父とその兄弟の付き合い方とか心の中がもぞもぞとしてくる展開である。
|