中山祐次郎 『逃げるな新人外科医』


              2022-09-25


(作品は、中山祐次郎著 『逃げるな新人外科医』    幻冬舎文庫による。)
                  
          
    

  本書  2020年(令和2年)4月刊行。
書き下ろし作品。

 中山祐次郎
(本書による)

 1980年神奈川県生まれ。鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院外科医、福島県広野町・高野病院院長を経て、郡山市・総合南東北病院外科医長。著書に「幸せな死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと」「医者の本音」「がん外科医の本音」などがある。

主な登場人物:

雨野隆治
(あめの・りゅうじ)
父 隆造
母 
兄 裕一(没)

鹿児島出身、東京下町の総合病院(牛之町病院)の医者になって3年目、28歳。 いろんな失敗に自信をなくしたり、もっと技術を身につけないとと。 新人の凛子に対し、先輩としてのプライドも。
・両親は鹿児島で「薩州あげ屋」を営むが、父親の具合が悪くなって・・。

佐藤玲

隆治の外科の直属の上司。 ベテランの雰囲気を漂わせる。
美人で気が強そう。

西園寺凛子
(さいおうじ・りんこ)

新人研修医。 最初に外科に配属。 物怖じしない性格。
コミュニケーション力に、仕事を覚えるスピードの早さに隆治驚く。

岩井 外科の上司。
須郷(すごう) 外科部長。
吉川佳代(かよ) 外科のベテラン看護師。 誰にでも愛想よく、気配りしてくれる。
佐久間 意地の悪い?。 隆治の苦手の看護師。
川村蒼(そう) 隆治と同じ3年目の研修医。 耳鼻科の正規のスタッフに。
[患者]
水辺一郎

ステージWの大腸がん患者、72歳。 身寄りのない単身者。
元妻(ケイコ)が付き添う。

紫藤博(しどう) ステージUの大腸がん患者、66歳。 妻と娘あり、太った男。
はるか 川村の誘いで、隆治が合コンに出たとき知り合った彼女。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 雨野隆治は研修医生活を終えたばかりの新人外科医。 責任ある仕事を任されるようになった分だけ、自分の「できなさ」も身に染みる。 そんなある日、鹿児島の実家から父が緊急入院したという電話が…。 現役外科医が、生と死が交錯する医療現場をリアルに描く。

読後感:

 主人公の雨野隆治は研修を経て晴れて3年目。 医師としての自覚とともに、知識に、技術にいかにも未熟さをかみしめている。 指導医の佐藤先生から二人の患者の主治医を任されるも、いろんな面で冷や汗をかき、技術のなさに落ち込むことが多い。

 一方、新人の研修医西園寺凛子が隆治に張り付いて、その行動力に刺激を受けること多々。
 そんな中、鹿児島の父が緊急手術をする旨の連絡が母親から入るも、そちらのことに気を向ける余裕もない。
 そんな気持ちを和ませてくれるのが、合コンで知り合ったはるかとのデート。

 作者が実際医師であることからの切実なシーンが水辺一郎のステージWの大腸がんの手術や、抗がん剤による副作用による間質性肺炎での処置にまつわるシーンだ。
 水辺は刑務所にも入ったこともあるヤクザっぽい人物だが、凛子のコミュニケーション力や、隆治の率直な対応にことの他好かれて、元妻(ケイコ)の話が胸に染みる。
 本作品は第2弾で、さらに続きがあるので、隆治の成長ぶりを楽しみにしている。

余談:

 ちょうど本作品の前に夏川草介の「勿忘草の咲く町で」を読んでいて、病気のいろいろを知ることになり、大変参考になった。 作風や描写の仕方も違うけれど、読み始めは違うなあと思われても、自然と作品の中に入って行くと気にならなくなるものだ。 

背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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