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中山祐次郎著 『走れ外科医』(泣くな研修医第3弾) 









                  
2022-11-25

(作品は、中山祐次郎著 『走れ外科医』          幻冬舎文庫による。)

         


本書  2021年(令和3年)3月刊行。書き下ろし作品。

中山祐次郎(なかやま・ゆうじろう)本書より)

 1980年神奈川県生まれ。鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院外科医、福島県広野町・高野病院院長を経て、郡山市・総合南東北病院外科医長。著書に「泣くな研修医」「逃げるな新人外科医 泣くな研修医2」「医者の本音」「がん外科医の本音」などがある。

 主な登場人物:

雨野隆治
(あめの・りゅうじ)
父 隆造(没)
母 
兄 裕一(没)

鹿児島出身、東京下町の総合病院(牛之町病院)の後期研修医になって約2年。
・母親は鹿児島でひとり「薩州あげ屋」を営む。
・兄と父親はすでに没。

佐藤玲

隆治の外科の直属の上司。隆治の4年先輩、33歳のベテランの域。渋谷からの申し出に、自身の生き様を考える年齢に悩む。

西園寺凛子
(さいおうじ・りんこ)

前期の研修を終え、3月から外科に配属してきた。
物怖じしない性格。コミュニケーション力は健在。

岩井 外科の上司。
須郷(すごう) 外科部長。
吉川佳代(かよ) 外科のベテラン看護師。誰にでも愛想よく、気配りしてくれる。
川村蒼(そう) 隆治と同期耳鼻科医師。都会的雰囲気を醸している。
[患者]
柏原源三郎 院長と馴染みという、個室に入院の議員さん。
松田 腹痛で救急外来に来た67歳男性。CT検査を拒む。
向日葵(むかい・あおい)

胃がんで抗がん剤治療中の彼女(21歳)が、腹痛で牛之町病院に救急患者として来る。かかりつけ医は夏生(なつき)病院。
先がないことを知り、3つの希望を隆治と凛子に伝える。

はるか 隆治の彼女。付き合って2年。会う回数は月に一、二度。
渋谷春海

佐藤玲が10年付き合っている3歳年上の彼。
天文学者、アメリカに2年留学の話が出て・・・。

鷹子

佐藤玲の女友達。2歳になる息子のいる産婦人科医。
高校時代の家庭教師の渋谷を佐藤玲に紹介する。

 物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
 
 若手外科医・雨野隆治のもとに急患で運ばれてきた21歳の向日葵。彼女はステージWの癌患者だった。自分の病状を知りながらも明るく人懐っこい葵は、雨野に「人生でやっておきたいこと第一位」を打ち明け…。シリーズ第3弾。
 
 読後感:

「泣くな研修医」シリーズ第3弾。雨野隆治も医師になって5年目、佐藤玲の指揮を伺うも一人で主治医を担うことも増え、外科に配属されてきた西園寺凛子のコンビで奔走することが多い。初めての学会発表も岩井の指導の下苦戦するが、同期の川村がすでに国際学会での発表も経験していることに、その差に愕然とする。
 患者の中で若くして胃がんのステージWで抗がん剤治療をしている向日葵のことが気にかかる。西園寺凛子と葵との仲良しぶりに救われるが、佐藤からは「あまり入れ込みすぎないようにね」と釘を刺されている。

 担当患者との描写も興味深いが、佐藤玲の将来のことが、主語となって語られるのが今までになかった展開で、新鮮。確かに女医で、しかも外科というハードな毎日を送っている医師の、人生の生きがいと、女性として奥さんとして、日常の生活を両立させることを考えると、なかなか決心のつかない問題を含んでいることを考えさせられる。
 そんな中、はるかと鹿児島に向かった様子も、そしてやはりラストの向日葵と凛子と隆治の、富士登山のシーンが緊迫感があり、どうなることか・・・。
 


余談:

 富士登山のシーンは、若い頃富士市に配属になり、やはり一度は富士登山に登らないとと、会社の同期と登った思い出が思い出され、懐かしかった。
 今はそんな気力もなくなっているが・・・。

 

 

                    

                          

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