読後感:
緋田家の一家の構成メンバーは母屋には祖母のタケ、龍太郎・春子夫婦、出戻りの次女の友惠、さとる(長女逸子?柳井聡介の息子)が、離れには長女逸子・柳井聡介、物置に克郎(龍太郎・春子の長男)が住む一大家族の物語。それぞれの主人公にその生き様が描写される。それぞれの生き様があるのである。
春子は自分の家族の育て方は間違っていたと悔やむが、果たして外から見る人々は「あなたは幸せなのよ」と一蹴されてしまうし、龍太郎の囲碁友達には「うらやましい」とさえ。
中でもしんみりとしたのはひきこもりの克郎(30過ぎ)の様子。家の外に出ることが出来なくなり、さとるの様子を見て、自分が物置にいるべき人と、追い出してインターネットを駆使して生活をしている姿。それでもタケの介護ヘルパーに訪れてくる皆川カヤノに初恋。カヤノとの優しさあふれるやりとりが感動的。
春子の家族を預かる日頃の些細な事に対する不満もよそからみると羨ましがられたりするのは実感がこもっていてそんなもんだろうなあとも。幸せかどうかは本当に死ぬ間際になってみて思い知るものだろう。
家族それぞれの物語にはそれぞれ同情したりうなずけるものがあり、身の回りのこととも合致するところもあり、気持ちが軽くなった。
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