(作品は、ほるぷ出版 長塚節『土』及び、文芸春秋社 藤沢周平全集第八巻『白い瓶』による。)
藤沢周平著『白い瓶』は、別冊文藝春秋で昭和58年新春号から59年秋季号に掲載されたもので、自然のとらえ方の的確と繊細が、荘内の自然に深くなじんで育った藤沢周平にはわがことのように感じられたに違いない、長塚節の評伝とも言うべきもの。
その中で長塚節という人物のことについて知り、またその中で夏目漱石が朝日新聞に連載物の「門」の後の小説として、長塚節の「土」が採用されたことを知った。
また、その小説「土」が読者の評判が好ましくなく、早々に打ち切りの話が出たにも拘わらず、文芸的には非常に優れたものであるということで、結局当初の予定の4倍近くの回数まで継続されたこと等の背景を知った。
ただ、藤沢周平著『白い瓶』で長塚節のことを知らず、「土」だけを読んでいたら、途中で投げ出していたかも知れない。 なかなか方言言葉が理解しにくいこともあった。
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