長岡弘樹著 『群青のタンデム』


              2019-10-25


(作品は、長岡弘樹著 『群青のタンデム』    角川春樹事務所による。)
                  
          

 初出 月刊「ランティエ」2010年4月号〜2012年5月号に掲載、改稿。
 本書 2014年(平成26年)9月刊行。

 長岡弘樹:
(本書より) 
 
 1969年山形県生まれ。筑波大学卒。団体職員を経て、2003年「真夏の車輪」で第25回小説推理新人賞を受賞。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。11年に発売された「傍聞き」文庫版がロングセラーとなる。13年に発売された「教場」が第11回本屋大賞、第14回本格ミステリ大賞(小説部門)の候補作となり、ベストセラーとなる。他の著書に「陽だまりの偽り」「線の波紋」「波形の声」がある。 

主な登場人物:

戸柏耕史(とがし・こうじ)
姉 和歌子
母親 美佐子
祖父 源太郎

沢津橋中央署
・姉 和歌子 藤倉駅前交番勤務。
・源太郎 2年前認知症の徴候見せ始め。40年間の教師生活終え、20年後、80歳。見当識障害。和歌子の声を聞くと道順すぐに思い出す。

陶山史香
(すやま・ふみか)
藤倉駅前交番勤務。
<第一話 声色>
戸柏耕史

沢津橋中央署交番勤務のルーキー。配属されて3年目。
・交番主任 秋葉。
・1年目の巡査 美島。

陶山史香 同じ沢津橋中央署配属のライバル。藤倉駅前交番勤務。

自転車を取り返すためパチンコ店“プラザ遊邦”を見張っている。
犯人はパチンコ屋に出入りする縞模様の服を着た男。

<第二話 府庁>
布施 刑事課巡査部長、「強行班盗犯係」ではエース級の35歳。
平池 町のチンピラ。左耳の下、もみあげのあたりに刃物で切られたとおぼしき傷あり。
水谷 美島の後継。
<第三話 伏線>
霜山 デイサービスセンター<寿花苑(すみかえん)>の生活相談員。
戸柏耕史

刑事見習いに抜擢され、刑事課の新米刑事。
・上司 布施。強行班盗犯係の先輩刑事。

陶山史香 耕史のあとから同じ係に入ってくる。
<第四話 同房>
戸柏耕史 4年前警部補に昇進、本部の刑務課勤後、志願して警察学校の教官に。
陶山史香 1年遅れで警部補に、県警本部警務部教養課に引き抜かれ、国際人事交流の要員に抜擢され、マニラ(フィリピン)の警察学校で日本語と犯罪捜査を教えている。
新条薫 初任科生。戸柏耕史教官の生徒。どの教科も成績下のラインぎりぎり。ランニングだけ人並み。
<第五話 投薬>
陶山史香

2年間のフィリピン派遣を終え、本部復帰も、再び市役所への派遣。新設の”市民部防犯対策課”。県警史上5人目の女性警部。五十路の一歩手前。

戸柏耕史 本部捜査二課に移ってもう2年、警部。
市役所の面々

・市長 永倉。
・美島忠和
(ただかず)防犯対策課の課長補佐。

新条薫 警察学校卒業後県西沿岸部の交番に3年配属後、今は沼津橋中央署交通第一課へ移動。
<第六話 予兆>
園山研吾 <千歳通り商店街>唯一のフラワーショップ「フローラ園山」経営者の息子。
斉木 中国人の爆窃団を手引きした人物。「フローラ園山」の隣のアクセサリーショップ「ルックス」をやっている。
<第七〜八話 残心>
戸柏耕史

沢津橋中央署の副署長(第七話)。
警察学校の校長で定年迎える(第八話)。

陶山史香

沢津橋中央署の署長。県警初の女性署長(第七話)。
定年退職して<キッズルームみらい>の部長(第八話)。

新条薫

交通課から地域課へ、巡査部長(第七話)。
服役後ボランティアで<キッズルームみらい>で働いている(第八話)。

中根仁志 六日町の傷害事件でゴルフクラブの刃物で首を刺され殺された人物(第七話)。

赤城あかね
父親

<キッズルームみらい>に預けられている女の子。父親から暴力を受けている。母親は入院中。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 警察学校での成績が同点で1位だった、戸柏耕史と陶山史香。彼らは卒配後も手柄を争い出世をしていくが…。なぜふたりは張り合い続けるのか。ベストセラー「教場」に続く異色の警察小説。

読後感:

 第一話から第八話までを通して描かれるのは戸柏耕史(とがし・こうじ)と陶山史香(すやま・ふみか)の二人(警察学校での成績は同点で一位という)が卒業後、沢津橋中央署での点数稼ぎの活躍で上り詰めていく過程での、お互いのことを支え合いながら上に上がっていく物語に見えたが、側に居た刑事課の布施と新人の新条薫の存在が警察内部の内情をじっと見つめているのを感じてしまった。

 この長岡弘樹作品、2013年の「教場」の後に刊行されているが、今回は特に伏線があって慎重に読み進めたり、読み直してみないと理解できないところが多く、困った。
 ラストの結果はいまだにスッキリしないまま、終わってしまった。
 耕史と史香の関係は、布施の言うとおり、愛情のなせる結果といえるようだが、もうひとつ、こういうわけというのをハッキリさせて欲しい。
  


余談:

 題名の「群青のタンデム」という意味が知りたく調べてみた。
 ・タンデムとは二頭立ての馬車、転じてオートバイや自転車の二人乗りのことと。
  結局、戸柏耕史と陶山史香の二人のことを指している。

背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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