物語の概要:
看護師の貴子は、ある事件から学校に行けなくなってしまった少女・まりもを牧場へと誘う。そこで待ち受けていたのは風変わりな牧場主と乗馬耐久競技という未知の世界だった…。胸ふるえる傑作青春小説。
読後感:
馬と言えば宮本輝の「優駿」を思い浮かべてしまうが、本作品は馬と言うよりは人間の方に焦点が当たっている?。しかも岩館まりもという14歳になるかならないかの少女。
学校でイジメにあい学校に行けなくなってしまう。さらには父親との二人なのにその父親までも亡くすという不幸な子供。そのまりもが近くのマンションに住む美しい女性大沢貴子と出会い志渡の営む<シルバー・ランチ>での新しい世界に踏み込んで色んなことを学んでいく。
また大沢貴子も忌まわしい過去に引きずられ素直な恋愛関係を結べないでいる。
一方志渡も裏切られた友情に、人間に対する信頼を失いかけている。
そんな中、エンデュランスという馬と人間の信頼関係が全てを決める耐久レースに情熱を燃やす漆原という人物が、新たな世界に彼らを呼び込んでそんな迷いごとを吹き飛ばしてしまう。
何となく身近でなく感情移入するには間隙を感じるストーリーではあるのが、残念と言えば残念。
でもラストのアメリカでのテヴィスカップでの競技の模様はさすがに感動もの。限界を乗り越えるられた後の感動、人も心も大きく成長させる。ちっちゃなことに拘ってくよくよしているのがばからしくなる。そんな経験をしてみたいもの。
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