森沢明夫 『おいしくて泣くとき』



              2021-01-25


(作品は、森沢明夫著 『おいしくて泣くとき』      角川春樹事務所による。)
                  
          

 初出 月刊「ランティエ」2019年11月〜20年5月号
 本書 2020年(令和2年)6月刊行。

 森沢明夫:
(本書より)  

 1969年生まれ、千葉県出身。早稲田大学人間科学部卒業。2007年、「海を抱いたビー玉」で小説家デビュー。「津軽百年食堂」「ライアの祈り」「虹の岬の喫茶店」「夏美のホタル」「癒やし屋キリコの約束」「きらきら眼鏡」など、多くの人気作品が映画・ドラマ・漫画化されている。そのほか、小説作品に「キッチン風見鶏」「大事なことほど小声でささやく」「水曜日の手紙」「ぶくぶく」、エッセイに「森沢カフェ」など著書多数。 

主な登場人物:

風間心也
父 耕平
母 40代で他界。

中学3年生、15歳。他人の気持ちを慮ってやれる優しい子(母親の評価)。サッカー部に所属していたが、膝関節の中の靱帯一部切れたまま、サッカー部に戻れない。
・父親 「大衆食堂かざま」の店主。貧しい子達のため無料の“こども飯”を提供。対称は小中学生に限る。
・母親 心也が小学3年生の時他界。心也が生まれた時の記念樹として桜を植える。
・景子さん 店の配膳係の女性、もうすぐ還暦を迎える。

新井夕花(ゆうか)
弟 幸太
母親
義父

地元新聞社主催の「学級新聞コンクール」のクラス代表に指名され、心也と二人で“ひま部”を始める。心也とは幼馴染み。
夕花はクラスで気の強い女子達のグループにいじめられている。
成績は優秀。家庭は貧しく“こども飯”を食べに来る。
・母親は昼夜働きづめ。
・義父 定職に就かず、家事も手伝わぬ。
・幸太 小学4年生。夕花とは血のつながらない姉弟。

石村蓮二 心也の隣のクラスの問題児。こっそり“こども飯”を食べに来ている。
矢島先生 心也のクラスの担任、40代半ば。音楽教師。

ゆり子
夫 マスター

「カフェレストラン・ミナミ」を夫婦で営む。「子ども食堂」のサービスを行っている。子供は高齢出産で流産していない。
・夫 店のマスター。

みゆちゃん 小学2年生、「子ども食堂」を利用している。
内藤さん 店の常連客、フリーライター、52歳。
タカナシ工務店の人々

「カフェレストラン・ミナミ」に猛スピードのダンプカーが飛び込み、損傷、台風が近づいている時、ニュースを見て支援を申し出る。
・高梨萌香(もえか) 26歳の若くてしっかり者の女の子。
・阿久津さん かなり無愛想な中年の大工さん。
・反町さん 若くてイケメンの大工さん。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 貧困家庭の子どもたちに無料で「こども飯」を提供する「大衆食堂かざま」。その店のオーナーの息子、中学生の心也は、「こども飯」を食べにくる幼馴染の夕花が気になっていた…。決して色褪せることのない人生の「美味しい奇跡」を描いた希望の物語。

読後感:

 物語は「大衆食堂かざま」の中学3年生の心也を中心に、学校での「学級新聞」をコンクールに出すため夕花とふたりが中心に作ることとなったのと、隣のクラスの問題児西村蓮二が“こども飯”に密かに来ていることを落書きされたことから一騒動が。

 それと心也と夕花の“ひま部”関連で、夕花が学級で存在を消そうと息を止めたようにいる姿に、心也が心を痛める様子、夕子の家庭の出来事に出くわし、ヒーローには慣れなかったが心也と夕花が別れていく切ない物語に涙がほろりと。

 かたや、「カフェレストラン・ミナミ」でも“子ども食堂”を営んでいるが、とんだハプニングが起こり、ダンプカーが店を破壊する騒ぎが勃発。台風が間近に来ていて困っていたさなか、ニュースを見てと、有り難い申し出が「タカナシ工務店」の萌香さんからあり、その人達との交流から、一時の幸せが訪れることに。

 しかし、マスターとゆり子にとっての悲しい出来事(高齢出産での流産騒ぎ)で店の再建も、家族を作ることも諦めねばならないことで心が折れそうになる。
 そんな展開で果たして「かざま」を中心の物語と「ミナミ」を中心として物語が並行して進んでいて、どういう展開が待ち受けているのかと残りページが少なくなっていく中で心配になる。サプライズの展開が待っていた。それは読んでのお楽しみに。


余談:
 これまで読んだ森沢明夫作品と同じく内容はホットで暖かみのある内容になっていて、読み終えた後の清涼感が好きだ。
背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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