森見登美彦 『 夜行 』



              2020-02-25


(作品は、森見登美彦著 『 夜行 』    小学館による。)
                  
            

 初出 「STORU BOX」2009年8月号〜12月号、2010年5月号〜8月号に掲載された「夜行」、
    「STORU BOX」別冊「青森へ」に掲載された「夜会」を再構成し、全面改稿。
     また、冒頭及び第一夜が「STORY BOX」2016年11月号に掲載。

 本書 2016年(平成28年)10月刊行。

 森見登美彦:
(本書による)  

 1979年奈良県生まれ。京都大学農学部卒業、同大学院修士課程修了。2003年「太陽の塔」で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年「夜は短し歩けよ乙女」で第20回山本周五郎賞を受賞。10年「ペンギン・ハイウェイ」で第31回日本SF大賞を受賞。他の著書に「四畳半王国見聞録」「聖なる怠け者の冒険」などがある。 

主な登場人物:

[鞍馬の夜祭りに参加のメンバー]

10月下旬私の呼びかけで計画。
(10年前に実施したが、その時長谷川さんの失踪事件があった)

大橋=私 今は東京住まい。
中井 英会話スクールに通っていた頃仲間達の中心。東京住まいだが、妻と京都に出てきた。
武田 一番年下。私より1つ年下。
田辺(たなべ) 仲間内で最年長。卒業後某劇団に所属していたが、解散後、郷里の実家豊橋に戻る。
藤村 今回参加の5名で唯一の女性。卒業後銀座の画廊に就職。
長谷川 10年前6人での参加時、その夜に姿を消した失踪者。失踪当時私と同じ二回生だった。
岸田道生(みちお) 銅版画家。2年半で「夜行」シリーズで48作品を残す。岸田サロンで仲間の話を聞き、インスピレーションで作品に。
柳画廊の主人。7年前になくなった岸田の残された作品の管理を任されている。「夜行」シリーズとは別に「曙光」シリーズがあると言うが、誰も見たことがないと。
<第一夜> 尾道(中井の話 5年前妻を連れ戻しに行った尾道での出来事)
中井 5月中旬仕事から帰って妻が居ない。4月頃から妻の様子が変。「尾道にいる」とのことで迎えに。尾道は長谷川さんが失踪する2ヶ月前一度来たことがある。
長谷川 実家は向島。祖父母の家が尾道で手伝い。
ホテルマン 中井が尾道で泊まったホテルマン。「海風商会」の主人。「妻は消えてしまった。あの家には空っぽです」と中井に。
「海風商会」の女 ホテルマンの妻。廃墟のような家の2階に住んでいると。中井に「助けて欲しい。夫が怖いんです」と。
<第二夜> 奥飛騨(武田の話 11月の3連休での奥飛騨でのこと)
武田 東京にある科学技術系の出版社に就職。繊細そうな外見でも以外に図太い。
増田 同じ部署で指導してくれた人、30代。11月の3連休に飛騨行き誘われる。

川上美弥
妹 瑠璃

増田さんの恋人。増田さんと美弥さんしょっちゅう喧嘩している。
・妹の瑠璃 美弥と同居。都内の大学に通っている。

ミシマ 人を見るのが得意。講演会の途中、車のトラブルで助けを求められたとき、増田達に「死相が出ている。今すぐ東京に帰りなさい」と。
<第三夜> 津軽(藤村の話 私と夫と児島君とで津軽を訪れた時のこと)

藤村玲子=私

卒業後銀座の画廊に就職。私は夫と児島君の夜行列車の旅(上野から「あけぼの」に乗り越後湯沢経由弘前、五能線を経て津軽鉄道の終点津軽中里)に参加。
・夫は鉄道好き。年に一度か二度友人と鉄道の旅に。

児島君 夫の同僚。
<第四夜> 天竜峡(田辺さんの話 飯田線での女子高生と坊さんとの出会い)
田辺 2年前飯田線で郷里の豊橋に戻ろうとしたとき、偶然女子高生と坊さんと同
女子高生 伊那市の高校に通う2年生。「夜の夢の中で色々な場所に行った。夜はどこにでも通じているから」と。
坊さん=佐伯 降霊術師(飛騨に本拠地のある新興宗教団体の手先)。京都にいたとき岸田道生に親切にされたと。岸田サロンの仲間。佐伯と名乗る。
<最終夜> 鞍馬(貴船の宿から我々5人が鞍馬の火祭を見に行っての、私の体験)謎が解けた?

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 京都で学生時代を過ごした私たち5人は、10年ぶりに鞍馬の火祭を訪れた。かつて鞍馬を訪れた時、仲間は6人だった。あの夜消えた長谷川の行方は今も知れない…。森見登美彦、10年目の集大成。

読後感:

 10年前、学生時代に通っていた英会話スクールの仲間たち6人で鞍馬の火祭を見に行ったとき、長谷川という女性が忽然と姿を消し、行方不明となった。
 そして10年経ってある種の区切りをつけるために鞍馬への旅を私(大橋)は呼びかけた。
 5名で貴船の宿に集い、宴席では岸田の作品を見たというそれぞれが語り出す。

 かくて<第一夜>から<第四夜>まで幻想的というか、ホラー的というか不思議な世界が展開し、読者は夢幻の世界へと誘われる。
 どの話も現実離れしていてあまり好みではないけれど、特に<第一夜>の尾道の話では時間軸が上手くあわなくてどういうこと?と悩んでしまった。

 <最終話>でそれまでの話が全く逆転してしまい、なんじゃこれ!とうっちゃられ、思わずのけぞってしまうほど。
 宣伝か何かで直木賞に関係することが載っていて期待していたが・・・。
 今回は森見登美彦という作家の作品がどういう傾向のものか全く知らなかったので他の作品を当たってみなくては・・・。


余談:

 本作品が直木賞候補作として第156回(平成28年 2016年下期)に選評があった。
 想像していたよりかなり評価が低かった。なるほどと納得。

背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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