印象に残る言葉:
◇藤川老人の言葉:
「終わりってのは、また始まるためにあるんだ。自分の作って育てた馬が、死ぬたびにそう思う。」
「人間、何か事をやろうと決めたときにゃあ、必ずその行き脚をさえぎるような禍が起こってくるもんだ。不思議なことだが、その禍ってのは、自分の一番弱いところをついてくるぜ。それでみんな前へ進めなくなっちまう。ところがこれも不思議なことに、ちくしょう、こんな禍なんかふっとばしてやらあ、俺は行くんだって腹くくったら、禍はいつのまにか消えちまう」
◇昔から言われていることわざ
「皐月賞は調子の良い馬が勝つ、ダービーは運の良い馬が勝つ、菊花賞は強い馬が勝つ」
◇和具平八郎の言葉 「馬は、心で走る」
読後感:
「優駿」は映画にもなって、確かコピーがヒューマン感動作とかなんか、清廉な乙女と若き青年の恋物語、切ない物語の印象をもっていたが、実際の小説の内容は、競馬界の諸問題を絡め、ドロドロした話の中に人としての生き方みたいなものが含まれている。
昨年、初めて東京競馬場に仲間に連れていってもらい、馬券を買い、競馬の仕組みを知った。さらにバックとして小説にあるような生産者、馬主、調教師、騎手、厩舎などが深く絡みあって、はじめて挙行されている様子を知って興味深いものがあった。
レース展開の妙味も読み応えがあった。またオラシオン(スペイン語で‘祈り’)、優駿といった言葉にも惹かれるものがある。
ところで、「約束の冬」と比べると描かれている人間に、あまり同調する気持ちが起こらず、心に残る作品という感じではなかった。 吉川英治文学賞作品、映画は大ヒツトと表しているが。。。。
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