読後感:
細川ガラシャの辞世の句が小泉元首相の退陣挨拶、さらに前では細川護煕(もりひろ)元首相の退陣の言葉に引用されたという。
「散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ、人もひとなれ」
を発した状況を知りたくて本作品を手にした。
明智光秀の娘玉子、細川忠興との結婚により細川玉子となり、侍女となる清原佳代、高山右近の影響を受け、洗礼を受けて後、洗礼名“ガラシャ”(恩寵=オンチョウの意味)となり、最後は徳川家康側に家運を賭け組したため、石田三成の勢力により人質要求の犠牲となるガラシャ夫人の生きざまが克明に展開されている。
光秀の苦悩、細川忠興の人となり、玉子の信条の変化など著者の創作が入っているとはいえ、歴史小説としても大変興味深いものであった。
以前天橋立を訪れたことがあったが、このあたりが細川家の領地であり、玉子が幽閉されていた地(味土野=ミトノ)に近いことを知り、なおさら身近なものと感じられた。
|