物語の展開:図書館の紹介文より
「N」と出会う時、悲劇は起こる。杉下希美、安藤望、西崎真人。夢を抱く3人は、ある計画に手を染め…。タワーマンションで起きた殺人事件。その真実をモノローグ形式で解き明かす連作長編。
主な登場人物:
杉下希美(のぞみ) |
K大学文学部英文科4年(22歳)。愛媛県青景村出身、現住所東京の“野バラ荘”の1階。 |
成瀬慎司 |
T大学経済学部国際経済科4年生。出身は杉下と同じ愛媛県青景村で高3のとき同じクラス。住まいは“タチバナ”アパート。フレンチレストラン「シャルティエ・広田」でアルバイト。高校の同窓会で再会する。 |
西崎真人 |
作家を志すが、デビューはしていない24歳。住まいは“野バラ荘”で杉下の隣りの部屋。 |
安藤望 |
出身は長崎県千早島、杉下希美より1歳年上。“野バラ荘”の2階に住むんで居たが、野口貴弘と同じM商事会社に就職し、今は野口の部下。 |
野口貴弘
妻 奈央子
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超高層マンション“スカイローズガーデン”48階に住みM商事会社の営業課長、42歳。昨年の夏石垣島のダイビングスクールで杉下、安藤と知り合う。野口は部下達から信頼され、妻の奈央子は以前同じ会社の受付嬢の美人。 |
読後感:
章によって語り手が次々と事件の真相(自分の立場でのことの有様)を語っていく。そうすることで事件の真相に迫ろうとする手法である。従って10年後の姿も交え、さらに昔の経歴も織り込みながら、違った視点で同じようなことが繰り返されたりして後の方になってくるとなんだか判らなくなってしまったり、くどくなってしまったり。
そして最終的にことの真実がはっきりするのであるが・・・。
そこに至るまでの杉下希美と成瀬慎司、安藤望、西崎真人との関係、野口奈央子と西崎真人との関係、野口貴弘と奈央子夫婦の愛と人間性の問題、西崎個人の生い立ちや文学作品の原稿の内容がはっきりとは理解出来ない状態で絡み合い、頭の中はぐちゃぐちゃになってしまった。
何か後味の悪いものが残ってしまう作品であった。
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