<第一章 隠れ鬼> |
痴呆の母親の絵から昔の殺人のことを思いだす。 |
遠沢正文(私)
母 塔子
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遠沢印章店を営む。40才半ばで妻も子供も居ない。母は5年前から認知症に。父親は30年も前に自殺。 |
<第二章 虫送り> |
河原での妹を辱めたホームレス男への殺人と嘘。 |
僕と妹 |
小学4年生の僕と二つ違いの妹(知佳)。河原に虫捕りに行って対岸にいる誰かを認める。 |
おじさん |
ホームレス殺人のあった後対岸に確認に行った時声を掛けた男の人。「死んでいい人間なんて、この世にいないんだよ」と。 |
<第三章 冬の蝶> |
河原で出会い惹かれた女の子(サチ)の家庭の状況を目にして、サチの現実を救おうと「俺が、あの男を殺す」と。 |
おじさんの若い頃 |
昆虫好きで昆虫学者になる夢を持つ。河原でサチと会うようになり惹かれていくが、いつも6時前になるとサチは帰っていくため意地悪をしたことで・・・。 |
サチ |
同じクラスの女の子。一年前に父親がいなくなり、母親は狂っている。 |
<第四章 春の蝶> |
牧川老人の家に泥棒が入りお金が盗まれる。娘に嫌われている父親(牧川老人)と娘と孫との生活が始まる。 |
サチ(わたし) |
泥棒が入ったことをきっかけに、集合住宅の私の隣の部屋に住む牧川老人と由希と話をするように。 |
牧川老人と孫(由希) |
夫の不倫で娘夫婦が離婚、心的に聞こえなくなった由希と娘が一月ほど前から牧川老人の所にやってくる。 |
<第五章 風媒花> |
風が花粉を運ぶ花を風媒花という。自分は姉のことを風媒花だと思っていた。 |
亮(りょう) (23才)
姉 (26才)
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トラックの運転手。危うく河原で少女を轢きそうになり、初めて「死」という言葉を生々しく感じる。父の死後、母を嫌って避けている。姉は小学校の教師で今年初めて担任となる。食堂にポリープがあり入院するが長引く。亮に「もしあたしがいなかったら、どうするの?」と。
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<第六章 遠い光> |
最近ふとしたとき頭の奥のほうに白い光が見える。その光のイメージが、いままた見えてきた。そしていま、ようやくわたしは答えを見つけていた。 |
女の先生(わたし) |
小学4年生の初めての担任。朝代のことで教師を辞めることを意識する。 |
木内朝代
(新しい姓 藪下)
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勉強は出来るが、おとなしく口数の少ない母子家庭の生徒。母親が結婚することになり、動揺して朝代が子猫に石を投げる事件が起き、教師の能力のなさを痛感させられる。 |