感読後感:
『向日葵の咲かない夏』
本作品は2004年、「背の眼」で第五回ホラーサスペンス大賞・特別賞を受賞してデビューした後の受賞第一作となるもので、ホラーと本格ミステリが高度に癒合した独特の世界観が高く評価された流れをくむものだった。
著者の作品は2010年の 「光媒の花」 で初めて手にした後の次ぎに読んだのであるが、何となく
「光媒の花」の印象が残っていて雰囲気としてはなるほどと感じさせるものが感じられた。
しかししかし、読み進んでいる内にミチオ、S君、お爺さんと会話の中での話に嘘が交じっているため、何が真実か判らなくなってくる
(こう言うのは読んでいて非常に困る) のと、この世の者でない世界のごっちゃな世界の話になってきてまじめに読めなくなってしまう。 心理描写の話にもなっていてミステリーとしてもおもしろいのだが、頭が混乱してきてなじめなくなってきてしまった。
「背の眼」 なる作品がどのようなものであるのか、読みたくもあるのだが。
『シャドウ』
精神科医の人物が出てくると何となく不安な展開が想像される。 しかも死人が身近な人間の二人もあり、そのうちの一人が自殺となるとなお一層である。 一体誰が正常なのか洋一郎、水城、さらに亜紀の不可思議な言動、行動にぞくっとしてくる。
後で振り返ってみるといろんな伏線が敷き詰められていてなるほどと思わされるが、なかでも小学5年生の鳳介のたくましさが最後にきて光っている感じである。
まずまずのハッピーエンドになって気持ちも落ち着いて読み終えることが出来た。
|