主な登場人物:
松橋富治
父親 冨左衛門
母親 テル
兄 冨雄
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秋田県荒瀬村打当(うっとう)集落に生を受ける。今年(大正3年)25歳、鉄砲の腕には自信のあるマタギ(猟を生業にする)。 |
鈴木善次郎 |
善之助狩猟組の頭領。
打当の狩猟組には六之丞、伊之介、善之助、斎兵衛の4つの組がある。頭領はそれに相応しい人間がなるならわし。
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忠助 |
六之丞組の若衆。富治の同級。片岡長兵衛の家の下働きの経験有り。 |
片岡文枝
父親 長蔵
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比立内集落の地主長兵衛(屋号)のひとり娘。
富治、文枝と隠れて逢い引き、孕ませる。
文枝の人生はやがて富治にも・・・。
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小太郎
姉 イク
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山形県大鳥鉱山での富治の弟分。雪崩で九死に一命を得た小太郎は村(八戸和)に帰る。
姉のイクはいわく有りの女。やがて富治と関係が・・・。
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物語の概要: 図書館の紹介文より
「家に帰って、妻の手を握りたい」。熊に足を喰われ、朦朧とする意識の中で富治はそのことだけを考えた。奔放に生きてきた富治を巨大熊に向かわせたものは何か。俊英がおくる感動の物語。
読後感:
この作品、以前に一度手にして早々と投了していた。マタギという行動、描写になじめなかったからだ。それが何年経ったが、色んな作品を読んで、再び直木賞作品と言うことでどんなところが良かったんだろうとの思いで再び手にすることに。
最初の章を乗り越えてからは物語の中に引き込まれていった。
松橋富治というマタギの一人の男の人生を活写したと言っても。若い頃のクマ狩りの模様、小作の倅ながら村の地主の一人娘に手を出し、両親にも苦渋を与え村を追い出されることに。村を出て阿仁鉱山での採鉱夫暮らしでマタギを諦め、別の興味を見出しはしても、晴れて友子衆となり、山形県の大鳥鉱山に移り住んで弟分(小太郎)を持つようになると、昔のマタギの腕がうずく。
小太郎の姉イクと富治の間、富治と文枝の間、それとは別に狩猟組の頭領のこと、沢田喜三郎との関係、富治とヌシの死闘、山の神への崇拝と様々な展開に、マタギという職業?に打ち込める思いが根底に、人生の生き様を形作っている富治の哲学がうらやましい。
文枝とイクの生き様、子供を思う母親の姿もこれまた見事と言うしかない。
やはり読んで良かったと思える作品であった。
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