今野敏著 『ヘッドライン』
           






                 
2012-05-25





   (作品は、今野敏著 『ヘッドライン』   中央文庫による。)

                    
      
 初出 「小説スバル」2010年1月から12月号に連載。
 本書  2011年(平成23年)5月刊行。

今野敏:
 
 1955年北海道三笠市生まれ。上智大学在学中の78年「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。卒業後、レコード会社勤務を経て、執筆に専念。 

物語の概要 

 報道番組「ニュースイレブン」の名物記者・布施京一と、警視庁捜査一課のベテラン刑事・黒田裕介。ふたりが追う未解決の猟奇殺人事件の背後には、新興宗教団体の存在が…。最新長編ミステリー。

主な登場人物

東都放送ネットワークスタッフ

「ニュースイレブン」のメンバー

・鳩村 二つの斑が交代で「ニュースイレブン」を担当の一つの方のデスク。
・鳥飼行雄 メインキャスター(ベテランアナウンサー)。
・香山恵理子 看板の女性キャスター。
・布施京一 報道局社会部の遊軍記者。いくつものスクープをものにしている。
・油井太郎 報道局長。

警視庁捜査一課特命捜査係メンバー

特命捜査対策室は未解決事件の継続捜査をすることで新設された。
・黒田祐介 第二係、部長刑事。バラバラ殺人事件を追っている。
・谷口勲 若い相棒。

バラバラ殺人事件関係者

・折田有希恵 1年前に起きた猟奇殺人事件の被害者。未解決事件。
・三原由紀 被害者の友達、被害者と同じ美容学校に通う。

その他 ・持田豊 東都新聞の記者。


読後感:

 今野敏の作品としては期待はずれ。 主人公と思われる鳩村、 黒田、 布施という人物に感情移入する要素が見あたらず、 今まで読んだ作品の引き込ませる要素が見あたらない。 こんな作品に当たることもあるかな(偏見かな?)。

 テレビのニュース報道番組に関係する所は非常に関心もあり、 期待出来たのに布施なる人物がまず好ましくない。 スクープをたびたび取ってくる遊軍記者、 人物像もつかみ所のない設定はよしとしても全然好ましく思える要素が見つからず、 鳩村というデスクの布施なる人物に対するやっかみというか恐れも迫ってこない。 黒田なる刑事の性格ももうひとつなじめない。 結局惹きつけられる人物が存在していないことが作品に入り込めないものとなっている。

 とはいえ、 物語の終末近くになり、 事件の核心に近づくに連れ、 鳩村と布施とのやりとりを通じて、 布施なる人物像がこちらの方に近づいてきて、 報道というものの見方、 考え方の主張がなされちょっと見直したという所。

余談:
 今野敏の警察小説「安積斑シリーズ」の”ハンチョウ5”が放映されている。 前作の神南署から本庁に舞台が移り以前に比べ本庁と言うことでギクシャク加減が増大し、組織としての一体感もまだまだというところ。
 何かあると特捜班を解体しようとする捜査一課長のしかめっ面の表情も一向に和らぐ気配もない。
 原作がどれくらい活かされているのかは知らないが、原作と出来上がりとどの程度違うのかなと思ったりして。

背景画は本書の内容のテレビ局をイメージしてテレビ朝日の建物風景を利用。

                    

                          

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