古処誠二著 『UNKNOWN』



              2018-05-25


(作品は、古処誠二著 『UNKNOWN』    講談社による。)

          

 
 本書 2000年(平成12年)9月刊行。 

 古処誠二:
(本書より)
 
 1970年生まれ。本書がデビュー作。第14回メフィスト賞受賞。
     

主な登場人物:

野上三層<俺>
(22歳)
警戒監視隊監視斑。今回の任務は朝香二尉のサポート。
朝香仁(ひとし)二尉 防衛部調査班(二等空尉)、府中在。今回警戒監視隊隊長の電話機に盗聴器が仕掛けられたことの調査で派遣されてくる。
神谷一佐 基地司令。
警戒監視隊

・大山三佐、隊長。俺の隊の親分。
・桜庭三尉、若き小隊長。仕事は速いし正確だが、しつこいところが困る。
・野上三曹 俺。
・竹田士長 俺の後輩。
・佐藤士長 俺と同期。渾名は”ドクダミ”、昇任試験に合格できず未だに士長。

通信統制隊

・宮原三佐、隊長。
・岸本三尉、小隊長。
・中林士長 入隊して6年、腕はいいが、あがり性。昇任試験には合格しても親分の推薦がなかなか。

レーダー電子隊

・知念一尉、隊長。
・三好三尉

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
 
 
舞台は「自衛隊」。テーマは「国防の意義」、しかし、ジャンルは正統派本格ミステリーなのか。潔さすら漂う武人たちの世界で発生した密室事件は何を照らし出すのか。  

読後感:

 自衛隊の基地内で盗聴器仕込み事件発生。冒頭から緊張感が漂う。一方語り手は府中の防衛部調査班から要請を受けて登場の朝香二尉のサポート役に任命された野上三曹。
 てっきり主役は朝香二尉と思いきや、不明なところを語らせて朝香二尉がしっかりと一刀両断するという引き立て役での起用らしい。
 
 それでも、所々に野上三曹の出番も用意されている。
 大山三佐の部屋にどうやって電話機に盗聴器を仕込むことが出来たのか、地下の部屋の配置、ドアの開閉に関するシビアさ、基地外からの侵入の難しさ、また基地内でのいざこざ、昇任にまつわる競争、領空侵犯に関わる監視状態の様子とどうやって、いつ、誰が、何故の疑問が鮮やかに明かされていくミステリーとしても面白い。
 
余談:

 古処誠二作品は先に「いくさの底」を読んだが、本作品はデビュー作である。
 先の作品では軍隊の指揮官と住民の長との信頼関係に関してのミステリーに面白さがあったが、今回は基地内の人間関係の面白さに惹かれるところがあった。
背景画は、森・木をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

           
戻る