北村薫著  『盤上の敵』



             2014-07-25


(作品は、北村 薫著 『盤上の敵』  講談社による。)

         

 初出 小説現代増刊号「メフィスト」‘98年5月号、10月号、12月号
     ‘99年5月号、9月号に連載された作品に加筆。
 本書 1999年(平成年)9月刊行。

 北村薫:(本書より)
 
 1949年12月、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。‘89年“覆面作家”として「空飛ぶ馬」でデビュー。’91年「夜の蝉」で第44回日本推理作家協会賞を受賞。主な作品に「秋の花」「六の宮の姫君」「朝霧」「スキップ」「ターン」「冬のオペラ」「覆面作家は二人いる」などがある。


主な登場人物

末永純一 東亜テレビの企画番組ものづくり、穴を埋める番組作りの<日付もの>担当。秋からの改変でコーナーを持つ。猟銃を持った男に妻を人質に自宅に立て籠もられる。
末永友貴子

町の本屋のレジ係をしていて末永と知り合い結婚。
兵頭三季によって心を壊されることに。

瀬川章一郎 散弾銃を購入、友人と鴨撃ちに出掛ける途中石割と出くわし、散弾銃を奪われる。
シメタ 東亜テレビ事件班担当のディレクター。末永純一と同期。
伊逹刑事 人質立て籠もり事件の担当刑事。
兵頭三季 友貴子と同年の恐るべき女。
石割強治 末永邸に友貴子を人質に立て籠もる。その前に瀬川章一郎を河川敷で散弾銃で殺害。

梶原啓三
妻 令

小学1年の時からの友達。育った土地にそのまま住んでいる地元密着型の暮らし人。大学は別で地方公務員。高校時代囲碁のまねごとをしていた。

物語の概要
(図書館の紹介記事より)

自宅に殺人犯が籠城、妻が人質に。末永純一は犯人と、警察の目を盗んである密約をとりつける。盤上の敵との争いは緊迫のうちに進み、取引は震驚の終盤を迎えた…。極上の北村魔術。

読後感

 各章の表題の白いキングは末永純一、白のクィーンが妻の末永友貴子を指しているらしいのが読み取れる。キングの方は立て籠もり犯の石割との取引と容易に判るのだが、クィーンの方の話はどうも語る相手?話相手が末永純一のようでもあり、違うのか?ともとれる。そして話の中身がどうも子どもの頃の話が大半で、はてどういう事なのかととまどう。

 それがラストの方でとんでもない結末が待っていようとは。
 それにしても、クィーンの話に出てくる兵頭三季なる人物はまっこと恐ろしい人物で、まさに魔物としか言いようがなく、しかもそれがクィーンの被害妄想の人物なのか、実在の人物なのか、ちょっと気味悪い感じで身震いしたくなるほど。
 ともあれラストの結末は・・・・。 

  

余談:

 作品の中で白のクィーンの語る昔の中国の話で――王様が、家来達を集めて、宴会をやっていた。そこに風が吹いて来て、明かりが消えてしまった。夜だったから真っ暗になってしまった。すると悲鳴が上がった。・・・云々のエピソード。
 この話は先に読んだ宮城谷昌光著「夏姫春秋」で楚の君主が機転を利かせて部下の信頼を勝ち取った話があった。そうどこかで知っているなあと思い出してにやりとした。

背景画は、本書の表現にあるチェスの白いキングと白いクイーンをアレンジして。

                    

                          

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