加藤元 『本日はどうされました?』


              2022-07-25


(作品は、加藤元著 『本日はどうされました』    集英社文庫による。)
                  
          
 

  初出 「Web集英社文庫」 2018年12月〜20年7月に連載されたものを
       加筆・修正したオリジナル文庫。
  本書 2020年(令和2年) 8月刊行。

  
 加藤元
(かとう・げん)(本書による)

 1973年神奈川県生まれ。 2009年「山姫抄」で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。 11年に発表した「嫁の遺言状」が大きな話題を呼ぶ。 他の著書に「流転の薔薇」 「ひかげ旅館へいらっしゃい」 「好きなひとができました」 「うなぎ女子」 「ごめん」 など。

主な登場人物:

[E病院内科病棟の看護師たち]
真中祐実(ゆみ) 患者さん達での信頼感はあるも、鈍くて気が弱いくせにどこかふてぶてしくずるい感じ。 看護師仲間からは疎まれ、 連続不審死事件の犯人と疑われている。
菊村美知

真中に対する忌み嫌い方は半端でない。
・ 携帯電話をなくしたが、トイレの便器に捨てられていた。

萩野真波(まなみ)

しょっちゅう菊村さんの悪口を蓮沼に言っている。
・ 腕時計が見当たらないと騒ぐ。

蓮沼佳純(かすみ)

真中さんのこと犯罪者とは思っていない。患者さんの対応、真中さんに随分助かっていると。
・ ロッカーからネックレスが見当たらない。

杉内主任 内科の主任。主任以外は三十代で年齢差ほぼない。

母 柳沢はる子
娘 植松佑喜子
(ゆきこ)
長男 慎一

糖尿病の持病持ちの母、熱中症でE病院に入院。 1週間の入院予定が、突如亡くなる。 「殺される前に出してよ」と娘の私に訴えていた。 関心があるのは自分自身のことだけ、そして自慢は慎一だけ。 スーパーマーケットのレジ係勤務。 E病院の噂聞く。

梅田登喜子 E病院で柳沢はる子と同室。 去年の夏入院するも2週間の間に同室の患者さん続けて二人とも亡くなり、不満もあり、ちっちゃな病院に転院した。
笹本考輝 胃潰瘍でE病院に入院していた時、担当看護師のひとり 「まなちゃん」と知り合い、仲良くなる。 だが彼女のこと不安になり、明里に相談を求めてくるも・・・酔って道路上に・・・轢かれて死ぬ。
佐倉早織(さおり)

10年近く前、前にいたS病院で真中さんと働いていた(同期)。 真中さんは、伝達は絶望的に下手。
今はS病院辞め、個人経営のクリニックで働いている。

栗林明里(あかり) 笹本考輝の元恋人。 考輝に対する不満もあり、「まなちゃん」 のせいで別れ、生花店を経営する弟の信次くんと仲良くなる。

物語の概要:文庫本裏表紙に記載分から抜粋。

 E病院で入院患者の連続不審死が発生。 噂を聞きつけた週刊誌のフリー記者は、独自に調査を始める。 同僚への聞き込みの結果、疑いは一人の女性看護師に。
 集団社会に潜む人間の悪意を描く長編ミステリー。

読後感:
 
 E病院での連続不審死事件を巡り、疑いを掛けられている真中祐実(ゆみ)を巡り、週刊誌の記者がその真相を取材しようと、各章でそれぞれの証言を描写していく。
 最後に本当の犯人宛に送られたメールに、今までのいきさつから、 あなたが“悪魔”である旨を突きつける。
 その描写によって浮かび上がる、E病院での出来事に対する各々の人間の行動、言動、心の内が明かされると、今世の中で起こってもいる事件の状態も、生き生きとしてきて、なかなか興味深いミステリーとなっている。

 備忘録としてメモしながら読み進んだおかげで、真中が犯人ではないとは思うが、果たして「まなちゃん」なる人物、最初に感じのいい看護師とされたのは誰なのかと興味も増し、引き込まれていった作品だった。

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余談:

 加藤元なる著者がネットを調べて女性だったことに、う〜ん!
 骨太の刑事物などの社会小説で大好きな作家高村薫の時以来の驚き。
背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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