伊坂幸太郎著 
             『ゴールデンスランバー』





                 2010-10-25


(作品は、伊坂幸太郎著 『ゴールデンスランバー』 (新潮社) による。)

              
 
 

書き下ろし作品
本書 2007年11月刊行

伊坂幸太郎:

 1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒、96年サントリーミステリー大賞で「悪党たちが目にしみる」で佳作。2000年「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。2003年「アヒルと鴨のコインロッカー」で第25回吉川英治文学新人賞を、2004年「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。本書はエンターテインメント大作、冴えわたる伏線、忘れがたい会話、時間を操る構成力・・・、全てのエッセンスを詰め込んだ、伊坂小説の集大成。

 ◇ 主な登場人物

青柳雅春
金田首相暗殺の容疑者。仙台の私立大学のサークル(青少年食文化研究会)仲間。卒業後宅配便のドライバーをしていたが、退職して失業中。
森田森吾 大学のサークル仲間。大学卒業後8年ぶり再会、2ヶ月前仙石線で青柳が痴漢騒ぎに巻き込まれたのを助ける。
小野一夫
(愛称 カズ)
大学のサークル仲間で後輩。青柳が犯人であることを警察から知らされ戸惑う。警察にやられたと負傷して入院。
樋口晴子
夫 伸幸
娘 七美
大学の同級生、青柳の元恋人、付き合っていたが6年前別れる。
大学のサークル仲間。
青柳が犯人とは信じられず、手助けに奔走。
平野晶
恋人 菊池将門
樋口晴子と同じ会社に勤めていた。四年ぶりの再会。
将門は仙台市に設置されたセキュリティポッドのメンテナンスを担当する会社に勤務。
保土ヶ谷康志 両足骨折で入院中。裏稼業の人間と。
岩崎英二朗 宅配便のドライバ仲間。
三浦 連続刺殺魔。何故か青柳の逃走を助ける。
警察関係者 ・佐々木一太郎 警察庁警備局総合情報課課長補佐。
・近藤守 総合情報課

物語の概要: 図書館の紹介記事より

 首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、巨大な陰謀から逃げ切ることができるのか。精緻極まる伏線、忘れがたい会話、構築度の高い物語世界…。伊坂幸太郎のエッセンスを濃密にちりばめた、現時点での集大成。


読後感:

 ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺でオズワルドが犯人とされ暗殺されてしまう事件の日本版とも言う内容で、青柳雅春が容疑者とされ、友達であった森田森吾が車の爆発で死亡するという何か巨大な壁に一人の人間が仕組まれそして理由も判らず逃走する。

 そんなバックグランドで自分の友達やふとして知り合った人間が警察とか国家とかの不可思議なものに抗して逃走する青柳に手を貸したり、応援したりと、せっぱ詰まったサスペンスという風でもなく、そこに接した人間の行動、生き方が小気味よく、小さな子供も含めてその会話に味があり、何とも楽しく面白い作品になっている。

 また、マスコミに対する痛烈な批判も日頃自分が思っていることを語っていたりして、小気味よい。


余談:

 最近はエンターテインメントの作品を読むことが多く、これではいけないか。もっと幅広く文芸作品の分野も読まないといけない。これからいい季節になってきたので明治から昭和の時代の作品を心がけよう。
 

                    

                          

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