今村夏子著 『星の子』








              2019-03-25

(作品は、今村夏子著 『星の子』      朝日新聞出版による。)

          

  初出 「小説トリッパー」2017年春季号
  本書 2017年(平成29年)6月刊行。

 今村夏子
(本書より)
 
 1980年広島県生まれ。2010年「あたらしい娘」で太宰治賞を受賞。「こちらあみ子」と改題、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた「こちらあみ子」で2011年に三島由紀夫賞受賞。
 2016年「あひる」が芥川龍之介賞候補となる。著作に「父と私の桜尾通り商店街」「白いセーター」。
      

主な登場人物:

林ちひろ
<わたし>
両親
姉 まーちゃん

小さい頃体弱く、両親が心配、落合さんから水が悪いと言われ、頭の上に高価な水を湿した白いタオルを乗せること勧められる。
小学校時代友達少なく休み時間はトイレや図書館で過ごしていた。
・両親 落合さんと仲良くなり、変な行動に親戚からは相手にされなく、法要にも呼ばれず、わたしだけが出席することに。
・まーちゃん 両親がわたしにばかり関心示すことに
(?)に反発、わたし小5の時(まーちゃん高校1年)退学し、家を出て行方不明に。

雄三おじさん
奥さん 和歌子おばさん
息子 慎吾

母親の弟。私の両親に変な宗教から抜け出すよう説得するも。
わたしのことを心配し、自分の家から学校に通うよう勧める。
・慎吾 高校三年生。

落合さん
奥さん
息子 

ちひろの両親に水が悪いと。
・ひろゆきくん 原因不明の病気(突然声が出なくなった)。でもその実行動は不可思議。親も嘘と知っている?

渡辺マキ
<なべちゃん>

転校生。わたしの隣の席に、物怖じしない美人の女の子。わたしと仲良しに。しかし時々わざと意地悪なこと(わたしのことを本当の友達とは言わない)を言う。
春ちゃん

小学校時代の同級生。わたしと同じ教室でひとりぼっち。休み時間はトイレや図書館で過ごす。中学になって別人のように雰囲気変わる。

新村くん なべちゃんの彼氏。

海路(かいろ)さん
昇子さん

国立大学に通う人気者。教会の研修旅行で海路さんと昇子さんの悪い噂が。
・昇子さん 海路さんの恋人。美男美女のカップル。人のオーラを見ることが出来る。

南先生 わたしが中学3年2組の時に赴任してきた1組の副担任。1組2組の数学担当、26歳。テニス部。ちひろは大好きな「ターミネーターUのジョン・コナー少年」に似ていることから好きになり、学校で噂が。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 「大切な人が信じていることを、私は理解できるだろうか。一緒に信じることが、できるだろうか…」。主人公ちひろは、出生直後から病弱だった。両親は救いたい一心で、「あやしい宗教」の信仰にのめり込み、家族を崩壊させていく。  

読後感:

「あやしい宗教」にひたる両親の様子がもっと執拗に描かれているのかと思っていたら、そんな風でなく、極わたしの事を心配しての思いやりではまっているようで、暖かみのある話のもっていき方に和みさえ感じられる。
 さらに物語はユーモアさえ溢れ、わたし(林ちひろ)と接する周囲の友達や大人達とのやりとりは、笑ってしまうことも。ラストの両親とちひろが”星の郷”で満天の星を見ながら流れ星を一緒に見るシーンは、ちひろが両親のことを信じる気持ちが伝わってきてほろりとする。
 

余談:

 今村夏子の作品は「こちらあみ子」と「あひる」を読んでいる。著者自身の素性は「こちらあみ子」の余談で記したが、ちょっと変わった経歴で、でも書いてある作品はほのぼのとした暖かみがあって好ましい。今回の作品も意味深なテーマも含まれているが、大きく大上段に振りかぶることなく、普段の生活の中の出来事としてさらっと掲げている感じで読者に投げかけているようだ。  
背景画は、花をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

           
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