今村昌弘 『屍人荘の殺人』



              2020-01-25


(作品は、今村昌弘著 『屍人荘の殺人』    東京創元社による。)
                  
          

  本書 2017年(平成29年)10月刊行。第27回鮎川哲也賞受賞作。

 今村昌弘
(いまむら・まさひろ)(本書に記載なし)  

主な登場人物:

葉村譲 神紅(しんこう)大学経済学部一回生。ミステリ愛好会会員。
明智恭介 神紅大学経理学部三回生。ミステリ愛好会会長。
「神紅のホームズ」と呼ばれている。
剣崎比留子 神紅大学文学部二回生。幾多の事件を解決に導いた探偵少女。
進藤 歩(あゆむ) 神紅大学芸術学部三回生。映画研究部部長。
星川麗花 同 芸術学部三回生。演劇部部員。進藤の恋人。
名張純江 同 芸術学部二回生。演劇部部員。神経質な性格。
高木 凜 同 経済学部三回生。映画研究部部員。男勝りな性格。
静原美冬 同 医学部一回生。映画研究部部員。大人しい性格。看護科。
下松孝子(たかこ) 同 社会部三回生。映画研究部部員。ギャル風の外見。
重元 充(みつる) 同 理学部二回生。映画研究部部員。あるジャンルの映画マニア。
七宮兼光 同 映画研究部OB。紫湛荘オーナーの息子。
出目飛雄(とびお) 同 OB。七宮の友人。
立浪波流也(はるや) 同 OB。七宮の友人。
管宮唯人(すがみや・ゆいと) 紫湛荘(しじんそう ペンションの名前)の管理人。
浜坂智教 儀宣大学生物学准教授。
斑目栄龍(まだらめ) 岡山の資産家。斑目機関の設立者。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 第27回鮎川哲也賞受賞作。神紅大学ミステリ愛好会に所属する葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究会の夏合宿に興味を抱き、同じ大学に在席する探偵・剣崎比留子と共に紫静荘を訪ねた。部員たちは肝試しと称し神社に赴くが、異常事態に遭遇し…。

読後感:

 なんだか雲行きが怪しくなり出したのはゾンビの出現から。まさかホラー小説とは思ってもいなかった。鮎川哲也賞のミステリ大賞ということで評判のようだったので期待していた。
 そんなゾンビ小説ということなら手にしなかったと思った。
 でも、ミステリ的としては結構面白く読み込んでしまった。

 登場人物が主に10名、誰が生き残っていったかで犯人が絞られていくことから、覚え書きで追っていったが、これがなかなか・・・。
 面白いのは密室とかのトリックもそうだが、殺人者の犯人が人間とゾンビの両方であること。

 そして普通なら「神紅のホームズ」と呼ばれる明智恭介が事件を解決するものと考えそうなのに、早々と舞台から消え、ラストで思わぬ出現となったストーリーにはあっと言わざるを得ない。
 代わりにミステリー探偵の主役を担っているのが、見目麗しい剣崎比留子。物語の主人公たる俺(葉村譲)をワトソン役に乞うて明智に迫る姿は圧巻。

 人間の犯人の犯行相手は昨年もそうだったが、映画研究会の夏の合宿での女性出席者に対するセクハラ犯行者の3人のOBたちと映画研究部部長と分かるものの、それにゾンビの襲撃と、この組み合わせで物語が構成されている。


余談:

 鮎川哲也賞とは:(主にウィキペディアより)
 東京創元社が主催する長編ミステリの新人賞で、「創意と情熱溢れる鮮烈な推理長編」を募集。
 加納朋子・北村薫・辻真先の三選考委員によりおこなわれる。
 1988年、東京創元社が全13巻の書き下ろし推理小説シリーズ「鮎川哲也と十三の謎」を刊行する際、その最終巻を「十三番目の椅子」として一般公募した。
 翌年、その企画を発展する形で鮎川哲也賞が創設された。正賞はコナン・ドイル像、賞金は印税全額。受賞作は、毎年10月前後に東京創元社より刊行される。

背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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