五十嵐貴久著 
キャリア警部・道定聡の苦悩』

 

              2016-03-25



(作品は、五十嵐貴久著 『キャリア警部・道定聡の苦悩』  角川書店による。)

           
 

初出 「デジタル野性時代」2013年1月号〜10月号
   (「キャリア警部・道定悟の憂鬱」を改題)
本書  2013年(平成25年)12月刊行。

 五十嵐貴久:(本書より)

 1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒。2001年「リカ」で第2回ホラーサスペンス大賞を受賞しデビュー。著書に「交渉人」「パパとムスメの7日間」「年下の男の子」「誘拐」「編集ガール」「こちら弁天通りラッキーロード商店街」「リターン」など。多彩なジャンルを書き分け、映像化作品も多数。

主な登場人物:


道定聡(25歳) 警視庁捜査一課強行犯三係、警部。キャリア。チビデブ。
山口ヒカル(27歳) 同三係、巡査部長。身長175cm、すさまじいほどの美人。これまでパートナー4年で9人入れ替わっている。
桜井 同三係長、警部。道定警部に対し、「自分は命令はしない。仕事については習うより慣れろだ。見て覚えるんだな」と。
川上伸秋 同三係、巡査部長。
<第一話> Gの密室
貝原牧子(40歳) 銘和乳業の経理部員、独身。高層マンションの20Fベランダから転落死。
<第二話> アリアドネの罠
聖真理教団

・大教祖 大泉荘城 56歳。 ナイフで一突死んでいた。
・女教祖 藤堂ツネ子
 50歳
・ナンバーツー 冴島優幸
(まさゆき)45歳

<第三話> 元気すぎる死体
藤井沙織(29歳)

化粧品会社勤務、交際していた男性(長松政人)を包丁で刺したと自首。
・長松洋子 長松政人の妻。

<第四話> ダブル・フェイス
石川奈美

渋谷の国際女学院に通う女子高生。高校生デリヘル嬢。補導されるとき「人殺しを見た」と。見た相手は金井。
・金井は兄の辰也と弟の一哉、一卵双生児。

<第五話> 落人の首
設楽光三と久谷道秋 3件の連続殺人事件の犯人。栃木県大鬼山村に潜伏、設楽は県警に逮捕される。
相馬警部補(50代) 栃木県警の、久谷の捜索隊長。

物語の概要: (図書館の紹介記事より) 

思わぬ不祥事のあおりを受け、まさかの警視庁捜査一課に配属されることになったキャリア警部、道定聡。変わり者の美人刑事・山口ヒカルとコンビを組まされ、戸惑いながらも5つの難事件に挑んでいく…。

読後感
  

 東大出のキャリアながら群馬県警に配属(高萩署総務課長)されるも不運にも汚職事件に巻き込まれ、あえなく責任を取らされ自宅待機、その後警視庁捜査一課強行犯三係に先週赴任した道定警部。パートナーに任命されたのは警視庁一怠け者でやる気のないことで知られるすごい美人の山口ヒカル。このコンビで奇しくも解決していく5話の物語。不思議にどんどん読み進んで行ってしまう。
 なんとなくやさしそうな事件であるがひねった箇所も有り、こんな所かなと読者に推理させてしまうところもなかなか。そんなところを山口ヒカルが、時にぼく(道定聡)が解決してしまう。

 日常の山口ヒカルの言動は確かにひどいし、けれどどこか憎めないところが有り、そして鋭い指摘とのギャップが面白い。
 そんなところを実質先輩刑事の川上の存在、大巨人の桜井係長の存在が脇を固めていて飽きさせない。

  

余談:

 女性刑事の出てくる作品も色々あるが、そのキャラの描き方で面白い作品が生まれてくるのが楽しい。 

背景画は、水をテーマに。

                    

                          

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