誉田哲也著 『主よ、永遠の休息を』
 



 

              2016-06-25



(作品は、誉田哲也著 『主よ、永遠の休息を』   実業之日本社による。)

           
 

 初出 「月刊J-novel」2008年12月号〜2009年8月号
 本書 2010年(平成22年)3月刊行。

 誉田哲也:(本書より)

1969年東京都生まれ。学習院大学卒業。2002年「ダークサイド・エンジェル紅鈴」で第2回ムー伝記ノベル大賞優秀賞を受賞。2003年「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。著書に「ストロベリーナイト」にはじまる姫川玲子シリーズ、「疾風ガール」「ジウ(全3巻)」「国境事変」「武士道シックスティーン」「ヒトリシズカ」「ハング」などがある。

主な登場人物:


鶴田吉朗(29歳)
<俺>

新卒で共有通信入社。4月から東京支社勤務、警視庁第五方面担当。勤務地は池袋署記者クラブ。
・宮武 キャップ。
・香取栄作 元共有通信記者。

記者クラブの人々

・大木記者 朝陽新聞
・稲葉   南関新聞
・及川    時事報道

芳賀桐江(はが)
(22歳)
<私>

バイトでコンビニ・サンキュー勤務。モニター画面恐怖症、パソコンも苦手。
・直哉(なおや) 彼氏、24歳。

コンビニ・サンキューの人々

・森田恒男 店長でオーナー
・チカちゃん 同じバイト仲間の友達、19歳。

鈴木史奈(ふみな)
(没)

桐江の義姉妹で仲良し、桐江の1つ上。14年前の夏、芳賀の家に泊まりに来ていて幼女誘拐殺人事件に遭遇の被害者。当時桐江は8歳。
栗田泰夫

東池袋の小さな暴力団山城組の若頭補佐、30歳前後。3F建ての“平山ビル”に事務所。
・坪井健二 舎弟。アヒル口で背高く細面。

芳賀宏 桐江の父親。千葉県木更津市下烏田で郵便局員をしていたが、妻は交通事故死。娘の桐江が東京に出たことで退社、東京に、今は無職。

稲垣満
母親 久子

幼女殺人事件の犯人。最高裁で心神喪失で刑事責任問えず措置入院に。
久子は木更津市下烏田に住む。

コバヤシ コンビニ強盗での犯人逮捕の協力者。山城組事務所襲撃の情報提供者。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 通信社社会部記者が、未解決猟奇事件の「犯行現場と思しき実録映像」に関わる事案に巻き込まれた。静かな狂気に呑み込まれていく若き事件記者の彷徨、そして驚愕の結末は。人気作家の新境地、傑作長編推理。

読後感
  

主人公(鶴田吉朗)の<俺>と(芳賀桐江)の<私>が入れ替わりながら物語が展開する。特に桐江は何か因縁がありそうで、奇妙な様子を時折現しながら14年前の世界と現実の世界がごっちゃになりながら次第に過去の真相があぶり出されてくる。
 事件の発端は桐江が働いているコンビニでの強盗事件、客の機転で犯人は取り押さえられ、居合わせた<俺>も関わることに。

 そして同じ夜に少し離れた暴力団の入るビルが襲われると言う情報を入手。でも警察の発表もなく何も騒ぎが起こらないことに疑問を抱き、調べ出す。
 事件記者の行動と一方で芳賀桐江の行動が絡まりながら、お互い頼ったり、心配したりの間になりながらの結末は果たして・・・。
 父親の行動も親としての思いが込められていて切実。
 

  

余談:

 誉田哲也のこれまでに読んだ作品を思い出すと、刑事が主人公物だったので今回のように若者の記者が主役物というのは初めて。そして最近よく新聞記事になる幼女誘拐や幼女に対するわいせつ行為とか、ビデオ撮影とかが題材になっていて、嫌な感じではある。とはいえ、稲垣満の供述の矛盾点と桐江の奇妙な様子を見る内に、気づいてしまう。果たしてどんな風に展開するのかと思いながら最後まで引き込まれた。 

背景画は、清流をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

                    

                          

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