誉田哲也著 
                『ストロベリーナイト』
 




              2014-09-25


(作品は、誉田哲也著 『ストロベリーナイト』  光文社による。)

             

 初出 「小説宝石」2012年1月号〜9月号
 本書 2012年(平成24年)11月刊行。

 誉田哲也:
 

 1969年、東京都生まれ。学習院大学卒。2002年、「ダークサイドエンジェル紅鈴妖の華」で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞。‘03年、「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。著作に「吉原暗黒譚」「春を嫌いになった理由」「疾風ガール」「ジウ警視庁特殊犯捜査係」がある。

物語の概略:

青いシートにくるまれ放置されていた物体は、執拗に切り刻まれた惨殺死体だった。警視庁捜査一課の主任警部補・姫川玲子は、直感と行動力を武器に事件の真相に迫る。新鋭、渾身の長編エンターテインメント。

主な登場人物:

姫川玲子(30歳)
母親 瑞江(みずえ)
妹 珠希(たまき)

警視庁捜査一課殺人犯捜査十係主任、警部補。
ノンキャリア、27歳で警部補。

姫川班のメンバー

・姫川主任。
・石倉保(巡査部長)47歳。
・菊田和男(巡査部長)32歳。
・大塚真二(巡査)27歳。
・湯田康平(巡査)26歳。

井岡博満 亀有署(所轄)の巡査長。玲子より1〜2つ年上。

勝俣健作
(渾名 ガンテツ)

五係主任、警部補。「一課内公安」と呼ばれる情報戦のプロ集団。
捜査一課メンバー

・和田一課長
・橋爪管理官
・今泉春男十係の係長、警部。玲子を捜一に引き上げる。
・日下守十係主任、警部補。玲子が嫌う主任。
・北見昇警部補 キャリア組。北見第三方面本部長の息子。

金原太一 都立水元公園すぐ近くでの被害者:事務機器リース会社大倉商会社員、34歳。

深沢康之
妹 由香里

原因不明の寄生アメーバーに感染し一月前に不審死、21歳。
・妹の由香里 康之の3つ年下。中央医科大付属病院に入院中。精神的に不安定。

滑川幸男
妻 知代

水元公園の内溜に沈められていた被害者。大手広告代理店白広堂社員、売れっ子クリエイター。
・妻の知代は10歳年下。

田代智彦 滑川の親しかった友。電器メーカーの営業。滑川の殺人事件で大塚が面接した男。“ストロベリーナイト”のことを告げる。
辰巳圭一 裏情報屋、探偵崩れ。大塚が初めて逮捕した人物。
佐田倫子 埼玉県警刑事部捜査一課の巡査。玲子が17歳の時連続婦女暴行事件の被害者となったときの担当刑事。
読後感

 本作品でドラマでは記憶になく、そう言うことだったのかと感じたところがいくつかある。
 ひとつ:姫川玲子が夏の夜の思い出したくない経験のところで、埼玉県警刑事部捜査一課の佐田倫子巡査の存在とその行動、そして裁判での傍聴席の警察関係者の敬礼に至る場面。
さらには、母親が叔母に責められ、責任を感じて入院をするに至った理由を妹珠希が自分の感情を含め吐露する場面。

 もうひとつは、ガンテツこと勝俣健作の極めつけの行動と姫川の刑事としての勘を認めつつも、“お前の発想は危険だ”と言う。“おそらくホシと極めて近い思考回路を持っているから”と切って捨てる毒舌。この得意なキャラにはドラマの武田鉄矢の役柄とぴったりなところは愛すべき所である。
 もうひとりの井岡博満の存在とドラマでの生瀬勝久のキャラのぴったりさに愉しささえ覚えてしまう。
 もちろん筋書きの面白さは群を抜いていて、読むのが楽しくてしようがなかった。

  

余談:

 本作品を読んで勝俣健作の言った言葉を原点にすると先に読んだ最新刊「ブルーマーダー」での姫川玲子の発想がそういうことだったのかとしっくり理解できる。
 本作品が姫川玲子シリーズの始まりという点後から読んでも読んでよかったと思わずにはいられない。改めてシリーズを小説で読んでみたくなった。
 
 よけいなことだが、生瀬勝久の出身が兵庫県西宮市と知ってますます贔屓になってしまった。だって西宮は小さい頃に住んでいた場所だったもん・・。

背景画は、ドラマの「トスロベリーナイト」より。

                    

                          

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