誉田哲也著 『インデックス』









                   
2015-02-25



(作品は、誉田哲也 『インデックス』      光文社による。)

                 

 初出 アンダーカヴァー 「宝石 ザ・ミステリー 小説宝石特別編集」(2011年12月)
    女の敵 「誉田哲也All Works」(宝島社、2012年3月)
     彼女のいたカフェ 「小説宝石」
(2012年11月号)
    インデックス 「宝石 ザ・ミステリー 小説宝石特別編集」
(2012年12月)
     お裾分け 「宝石 ザ・ミステリー 小説宝石特別編集」
(2013年12月)
     落としの玲子 「ダ・ヴィンチ」
(2014年7月号)
            JTウェブサイト「ちょっと一服ひろば」
(2014年6月号)
    夢の中  「小説宝石」 
(2014年9月号)
    闇の色  「小説宝石」 
(2014年9月号)
 本書 2014年(平成26年)11月刊行。

 誉田哲也:(本書より)
 

 1969年、東京都生まれ、学習院大学卒。
 2002年、「妖の華」で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞。2003年、「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。2006年刊行の「ストロベリーナイト」に始まる(姫川玲子シリーズ)は、現在の警察小説を代表する作品のひとつとして多くの読者を獲得し、映画化も話題となった。「ジウ」「武士道シックスティーン」「ドルチェ」「ヒトリシズカ」「ケモノの城」など、作風は多岐にわたる。近著は「歌舞伎町ダムド」。

◇ 主な登場人物:

姫川玲子

池袋署強行犯捜査係担当係長、警部補。
本部に引っ張られてからは捜査一課殺人犯捜査第十一係の主任。

今泉春男 捜査一課第五強行犯捜査の管理官に就任。姫川玲子を再び捜査一課に引き上げに動く。
井岡博満(ひろみつ) 本籍は三鷹署。特捜の姫川玲子の支援につきまとう。玲子は敬遠するも時に思いがけない活躍をすることに。
新生姫川斑のメンバー

・日野利美(53歳)巡査部長。オバちゃん。
・中松信哉(47歳)巡査部長。ヤサグレ。
・小幡浩一(32歳)巡査部長。目付きの悪い若造。
係長:山内篤弘警部。個性的な方。
統括主任:林広巳警部補。(元捜一強行犯捜査二係別名「現場資料斑」で主任を務めていた)

<アンダーカヴァー> 取り込み詐欺にあった硝子食器の卸問屋の主人が自傷事案。被疑者吉田勝也(43歳)と玲子の価値観論。
<女の敵> 中野パークヒルズで男の変死体事案。車の接触事故の被害者深町依子に対する違和感に玲子は相方の野方署大塚巡査に任せる。大塚真二は5年前玲子が初めて持った部下だった。姫川玲子が本庁時代の話。
<彼女のいたカフェ> 池袋のブックカフェで何時間も読書をしに来る美人でお洒落な感じのお姉さん。10年後町で再び見かけた女性はあの人。その人のとった行動は・・・。
<インデックス> ブルーマーダー事件の犯人木野一政によって殺されたと行方不明の星野一家の皆藤吉富の捜査。姫川と井岡の捜査が冴える。
<お裾分け> 資産家強盗殺人事件に「いずみ荘」の大家脇沢衣子(71歳)の挙動不審に張り込み。本部に復帰の部下も同じ特捜本部に。メンバーはオバちゃん、ヤサグレ、目つきの悪い若造と。ここでも井岡の情報が・・。
<落としの玲子> 居酒屋で捜査一課殺人犯捜査十一係の人事相談。今泉の、玲子に対して取り調べの極意のご教授に、玲子の追求ぶりが今泉を落とす。
<夢の中> 墨田区錦糸町の路上で刺傷事件、本所署に応援の命を受けた新生姫川主任斑の4名で捜査に。被害者峰岡里美は交友関係の狭い、寂しい人と評される、その秘密に迫る玲子は俄然しつこく。
<闇の色> <夢の中>の継続。峰岡里美の母親としての嘘と告白。聞き込みと推理から犯人の生い立ちに思い至る玲子の胸の内は・・・。
ラスト、新生姫川主任斑に投入されることになった昔の姫川斑の引き揚げ人事とは?


◇ 物語の概要:(図書館の紹介記事より)

 池袋署強行犯捜査係担当係長・姫川玲子。所轄に異動したことで、扱う事件の幅は広がった。巧妙に正体を隠す詐欺犯、路上での刺殺事件…。終わることのない事件捜査の日々のなか、玲子は本部復帰のチャンスをつかむ。

◇ 読後感:

 8つの物語が登場するが、姫川玲子が捜査一課殺人犯捜査第十係の姫川斑の頃でのものや、池袋署に飛ばされ(?)てから再び本部に復帰しかかったり、本部復帰の捜査一課殺人犯捜査第十一係の新メンバーとの捜査に関するもの、さらには特におもしろかったのは<彼女のいたカフェ>では姫川の警察に入る前の姿が第3者によって観察されているのは異色で笑ってしまった。

 <インデックス>では先に読んだ「ブルーマーダー」の継続とも言える内容を引きづっていて読んでいないと損をする。
 もうひとつ<落としの玲子>では今泉管理官と玲子の居酒屋での一対一のやりとりが楽しい。玲子に取り調べの稚拙さを指摘する管理官に対し、取り調べの極意をご教授くださいと詰め寄る玲子に手を焼く今泉。手本とする女捜査官として魚住久江が出てくるのには先に魚住久江シリーズを読んでいただけにしてやったりと。ただ、姫川玲子は面識はなくかみ合わない。その後堀座卓の下に落ちていた写真をネタに今泉を追いつめる玲子。これにも笑っちゃう。

 締めは<夢の中>と<闇の色>。本部に復帰した新姫川斑の活動はやりにくいこと仕切。でも被害者の峰岡里美の反応に闘志を燃やす玲子の姿は頼もしい限り。そして世間にも存在する母親と子供の可哀想な生い立ちの問題が事件の背景に横たわっていて玲子でなくてもジンとしてしまう。
 そして本当にラスト、姫川玲子が今泉に幾度となく頼んでいた旧姫川斑メンバーで引き寄せられた只一人の人選は・・・。またこれからが楽しみに。

余談1:
 
 姫川玲子の感は聞き込みに行ったときなど相手のちょっとした所作、目の動き、受け答えの間といった所を見逃さず、あぁこんな風におもんばかるんだなあと思わせるところがいい。それに自分が引っ張ってきた案件は組織捜査に関せず自分がホシを上げるというすさまじさ。

余談2:

 目次を見てちょっと驚く。
 8編の順番はどうも初出順に並べられているのだが、目次は違う!
 ・Color of the Dark
 ・Female Enemy
 ・Index
 ・In the Dream
 ・Reiko the Prober
 ・Share
 ・The Cafe in Which She Was
 ・Undercover
 この意味合いは何か?考えてしまった。

 背景画は本書の内表紙を利用。

                    

                          

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