誉田哲也著 
                『ヒトリシズカ』

 



                 
2013-02-25


(作品は、誉田哲也著 『ヒトリシズカ』 双葉社による。)

        

初出 2008年に10月月双葉社より刊行。
本書 2012年(平成24年)4月刊行。

 誉田哲也(ほんだてつや):(本書より)
 1969年東京生まれ。2002年「妖の華」で第2回ムー伝奇ノベル大賞受賞、03年「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。「ストロベリーナイト」「ジウ」といった警察小説や「武士道シックスティーン」などの青春小説で多くの読者を獲得する。近著に「レイジ」「ドルチェ」「あなたの本」。

主な登場人物

第一章 闇一重
警視庁小金井警察署

・木崎信吾 小金井交番の巡査部長。<俺>
・大村和己(かずみ) 東小金井駅前交番の巡査部長。
妻子持ち、木崎より3つ年上。伊東孝俊との絆強い。
・伊東孝俊 生活安全課の課長、警部、50代。
娘の静加、行方不明。

被害者 小池基文 31歳、暴力団組員。銃による発砲事件で死亡。
第二章 螢蜘蛛
警視庁西新井署

・山岸潤哉 生活安全課防犯係 <俺>

被害者&関係者

加賀誠 23歳。マル走上がりのチンピラくずれ。不正改造を行っている噂。死因 刺創によるショック死。
・谷口守男 24歳。加賀(後輩)と不仲。
・飯村由美 八重歯の高校生、コンビニでバイト。ストーカーに付きまとわれてると警察に。山岸が受ける。
・澤田梢 飯村由美と仲良し。同じコンビニでバイト。
・水野裕一 今年大学卒業、飯村由美の恋人。

第三章 腐屍蝶(フシチョウ)
青木久則<私>

元警察出身、今は興信所「青木事務所」開設。
伊東孝俊(当時小金井警察署の生活安全課課長)より娘静加の行方不明調査を依頼される。
山岸潤哉から情報を得る。
・南原義男 妻の南原悦子から夫の素行調査依頼される。
周りの取り巻きヤクザっぽい。

第四章 罪時雨
伊東孝俊<私>

八王子署生活安全課に異動して1年、課長職。
唐沢事件後、小金井警察署生活安全課に異動。岩倉深雪にプロポーズ。静加と三人で暮らす。

被害者及び関係者

・唐沢秀也
・床屋の女将 私、深雪を助けてやってと頼まれる。
・岩倉深雪 女将の姪っ子。娘静加
(8つ)
唐沢と同棲して4年ほど。唐沢に暴力振るわれる。
・松井晋平 唐沢と最近仲違い。

第五章 死舞盃
警視庁麻布署

・矢部 麻布署の刑事、49歳、主任。<俺>
・尾上幸彦 巡査長25歳。 “ポチ”呼称。
・鮎川五郎 警視庁組織犯罪対策部(ヤクザ絡み専門部署)の主任、警部補。3つ年下。特別捜査本部で俺とコンビ。

被害者及び関係者

・南原義男 不動産会社社長、42歳。大和会系奥山組の傘下団体、天州会麻布の代表。銃撃戦で男4人、女1人死亡。
・青木久則 41歳、行方不明。
・南原澪 南原の娘9歳の姿無し。
・アキ(若い女) からのたれ込み。

第六章 独静加
警視庁

・捜査二課特捜6係 藤岡主任、警部補。<私>
・捜査一課 木崎信吾警部補。

容疑者及び関係者

・佐川真琴=仲尾真琴
・佐川唯 佐川真の娘、小学生。
・浜西タツ 「春菜荘」の主人。アキとミオの姉妹を世話したことある。


物語の概要
図書館の紹介文より 

5つの殺人事件。果たして、刑事は真実を見たのか。果たして、女は幸せだったのか…。「小説推理」連載中から大好評。今、注目を浴びる著者の連作警察小説。双葉社創立60周年記念刊行作品。

読後感:

 読み始めた時は一話ずつの短編小説かと思っていたら、実はそれぞれの章には関連する人物がいて、次第に姿を時系列でつながっていたことが判る。
 
 テレビで「ストロベリーナイト」を見て、非常に闇に隠れた背景が潜んでいるし、鬱屈した人物の姿が垣間見られた。本作品も読んでいく内に、それに似た印象を持った。ある種こういう作品を書く作家なんだなあと。
 
 章の表題も“闇”とか“死”とかのおどろおどろしい表現が使われている。でも通じてこの小説、単に娯楽作品と言うだけでなく、何か重たいものがついて回りずっしりとした手応えを感じさせる小説である。ラストに謎の行動をしていた伊東静加の本当の姿が垣間見られても、悲しい結果になってしまった点に何か救われたようなじーんと来るものがあった。


余談:

 本稿の原稿を作成するに当たって未作成の部分があり、再度本を読み返した。完全に原稿を作成して次の本に移らないとすぐこういうことになってしまう。特に次の本を読みたくてしようがない時など。でも、再度読み返すのも悪い気がしない。うろ覚えではあるが、また違った印象を持つことが出来るから。本当に読書っていい。

背景画はヒトリシズカの花を利用して。

                    

                          

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