誉田哲也著 『硝子の太陽Rouge』




              2018-07-25


(作品は、誉田哲也著 『硝子の太陽Rouge』    光文社による。)

          

 
 本書 2016年(平成28年)5月刊行。書き下ろし作品。 

 誉田哲也:
(本書より)
 
 1969年、東京都生まれ。学習院大学卒。2002年、「妖の華」で第2回ムー伝奇ノベル大賞を受賞。2003年、「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。2006年刊行の「ストロベリーナイト」に始まる(姫川玲子シリーズ)は、現在の警察小説ムーブメントを代表する作品のひとつとして多くの読者を獲得し、映像化も話題となった。「ジウ」「武士道シックスティーン」「ドルチェ」「ヒトリシズカ」「ケモノの城」など、作風は多岐にわたる。近著は「プラージュ」。 

主な登場人物:

<本庁刑事部捜査第一課殺人犯捜査第十一係>
林広巳
(ひろみ)
姫川玲子
菊田和男

日野利美
(としみ)
小幡浩一
中松信哉

統括主任の林他11人構成。

統括主任、55歳。姫川のかっての恩師。
姫川班主任、警部補、34歳。
同班主任、警部補。2〜3年前に結婚。
姫川主任の良さを引き出す裏方役。
同班、巡査部長、54歳。玲子にとって年上の部下役に徹する。
同班、巡査部長。俺らに心を開いていない。
同班、巡査部長。菊田の大森時代の大先輩。
同 殺人犯捜査第八係

・勝俣健作主任。 あくの強さで有名。独自の感覚を持つ。
・葉山則之
(のりゆき)、巡査部長。かって姫川班にいた刑事。生真面目の有望株。

成城署刑組課
刑事組織犯罪対策課

・鈴井巡査部長、41歳。祖師谷の捜査本部での相方。

<祖師谷一家殺人事件>
特別捜査本部

成城署に設置の特捜本部。
被害者:長女長谷川繭子(25)、妻桃子(53)、長男高志(20)。父親の隆一は単身赴任で不在。犯人の常軌を逸した行動。
・管理官 今泉警視。
・捜査一課殺人犯十一係係長 山内警部。
・林統括主任の下、姫川班が担当。
・殺人犯捜査第七係 井岡博満

<上岡慎介殺人事件>
特別捜査本部

代々木署に設置のフリーライター上岡慎介殺人事件の特捜本部。
・管理官 梅本警視。
・勝俣ら八係が当たる。
・姫川班から姫川、菊田、小幡の3名が応援ではいる。

アンソニー ベトナム戦争に従軍のアメリカ兵。悪夢にうなされる。

池本健
小百合
息子 城士

アンソニーの息子。トヨダ・サユリと結婚、日本に。
小百合はジージを産んで1歳の誕生日に亡くなる。

上岡慎介(かみおか) フリーライター、50歳。主に歌舞伎町を中心に取材。祖師谷の事件現場で姫川と出くわし逃げた男。
砂川雅人 沖縄出身の35歳。反米軍基地デモのリーダー。上岡慎介殺害の犯人の一人と目されている。
矢吹近江 反米デモに資金提供。今は沖縄米軍基地の土地を買い占めている。新宿署に公務執行妨害で勾留されている。公安の差し金?

補足: 昭島市一家四人殺人事件 28年前犯行の手口は殴打と扼殺。現場は米軍基地(横田基地)。13年前時効成立の未解決事件。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
 
 祖師谷で起きた一家惨殺事件。深い闇の中に、血の色の悪意が仄見えた…。捜査一課に復帰した姫川を襲う新たな試練。姫川玲子×「ジウ」サーガ衝撃のコラボレーション。絆も正義も血に染まる、慟哭のルージュサイド。    

読後感:

 殺害のシーンの描写を読んでいると、奇しくも高村薫著の「冷血」の殺害シーンを思い出してしまう。その後襲う家を物色して忍び込み、家人を殺害しようとするシーンの目を塞ぎたくなる所でさらっとスルーしてあったが、今回は読みたくないので飛ばし飛ばしで。
 それは犯人の悪夢だったような、現実にあったことのような・・どんな関係が出てくるのか。
 
 それはさておき、姫川玲子シリーズはなかなか面白くて、中でも菊田を絡めたやり取りといい、勝俣との歯に衣着せぬ激しい言葉に、ドラマの武田鉄也の印象が被り、強烈なインパクトを醸し出している。姫川玲子もかなりな危険人物である面もさらけ出している。一方今回の井岡のシーンはちょっとだけなので残念。
 だが林統括主任の存在は今回光を放っていた。

さて、ふたつの捜査本部マターに絡め、もう一つ28年前の「昭島市一家殺人事件」が勝俣の姫川いびりの結果としてガセネタを掴ませた結果、犯人のあぶり出しに寄与するはめに。
 ふたつの事件(「祖師谷事件」と「昭島市の事件」)の犯人は意外にも・・・。悲しい結末に落ち込んでしまった。
 
余談:

 同時に発売の「硝子の太陽N」があるのでその本も読んでみたくなる。
背景画は、森・木をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

           
戻る