誉田哲也著 『武士道エイティーン』



              2018-08-25



(作品は、誉田哲也著 『武士道エイティーン』    文藝春秋による。)

          

 
 本書 2009年(平成21年)7月刊行。書き下ろし作品。 

 誉田哲也:
(本書より)
 
 1969年、東京都生まれ。学習院大学卒。2002年「ダークサイド・エンジェル紅鈴 妖の華」で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞しデビュー。2003年「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。「ストロベリーナイト」や「ジウ」(全3巻)で新しい警察小説の担い手として注目を集める一方、「武士道シックスティーン」が坪田譲治文学賞の候補になるなど、青春小説の書き手としても期待されている。著書に「吉原暗黒譚」「春を嫌いになった理由」「疾風ガール」「月光」「ソウルゲージ」「国境事変」「シンメトリー」「ヒトリシズカ」「ガール・ミーツ・ガール」など。本書は剣道をする女子高生を描いた「武士道」シリーズの第3作に当たる。  

主な登場人物:

<東松学園女子剣道部>
磯山香織 剣道部の大将。甲本早苗の盟友。
田原美緒 新2年生、抜群の運動神経と吸収力で、次世代の有望株。平正眼に凝る。
その他 ・小柴先生 顧問。
<福岡南高校女子剣道部>
甲本早苗 東松の雰囲気を愛すも、今は福岡南の仲間と馴染む。
黒岩怜那(レナ) 早苗の良きライバルであり、理解者。
その他

・吉野先生 インターハイ(全国高等学校剣道大会)の監督。
・城之内先生 剣道部全体の監督。吉野先生を煙たがっている。
・福田貴子先生 二班の担当顧問。

桐谷玄明(よしあき)

桐谷(きりや)道場の主。
・祖父 典光
(のりみつ)
・父親 慎介 祖父からこの道場を継がせたかったと。空襲で戦死。
・兄  隆明 祖父から道場を継ぐも、もう10年前になくなる。
・宇田島佳美(夫 智弘) 典光の娘。道場の建設資金、終戦から竹刀競技教室始めるまでの金を拠出。

百道浜決戦関係者
(20数年前)

剣道始めた小学校3年の時からの仲間。
・吉野正治
(まさはる) 直美の大けがの仕返しに一人で迎え撃つ。
・市原遼 正治と直美とは別の学校。中学では福岡県の代表に、福岡啓徳高校に推薦入学。正治を誘う。
・宮内直美 正治と小学、中学同じ。腕は勝っていた。その後父親の借金で様変わり、大けがをする。
・井上孝夫 中学の2つ年上の先輩。ワルで有名だった。
吉野のその後:高校の教師への誘い、桐谷玄明との稽古で剣道の意義を知る。

西荻緑子 甲本早苗の姉。売れっ子のファッションモデル。父親の転勤で福岡に家族移るも、東京に残る。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 福岡と神奈川で武士道を極めた早苗と香織が、最後のインターハイで戦う。その後に立ち塞がる進路問題。登場人物たちの18歳の決断とは…。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、いよいよ天王山。 

読後感:

 「武士道セブンティーン」のその後の物語。東松学園の磯山香織と福岡南の甲本早苗とのインターハイでの決戦を頂点にそれぞれの学校での剣道部の変遷(新人発掘、稽古、お互いの成長など)をテーマに展開する。

 中でも東松での磯山香織と新人の有望株田原美緒との確執。甲本早苗の挫折となる靱帯破損の怪我による早苗の将来展望の変化。桐谷道場の主である玄明を巡る過去の話。インターハイを終えての磯山香織と田原美緒の確執を取り持つ甲本早苗と美緒のやり取りなど盛りだくさん。

 高校を卒業しての大学へ進むのか、別の道を進むのかの選択、中学から高校への進学とは大きく異なり、将来への迷いは若さの峠で有り、夢の実現に向けてのリトマス試験紙でもある。
  
余談:

 剣道一筋の話題もこの頃になると周囲の背景描写が多くなった感じ。桐谷道場主の若き頃の出来事、新人の田原美緒の天才少女の悩み事、姉の西荻緑子のファッション業界の苦労話とか。
 そろそろ納め時かな?でも大学生での時代が未だ残っていたらしい。「武士道ジェネレーション」が発行されている。
 
背景画は、森・木をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

           
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