誉田哲也著 『あなたが愛した記憶』





                
2013-11-25



(作品は、誉田哲也著『あなたが愛した記憶』   集英社による。)

               
 

 初出 集英社WEB文芸レンザブロー(2011年7月〜2012年1月)単行本化にあたり、加筆、修正。
 本書 2012年(平成24年)6月刊行。
 
  誉田哲也:(本書より)
 
 1969年東京都生まれ。02年「妖の華」で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。03年「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。警察小説としてジウシリーズ、「ストロベリーナイト」をはじめとする姫川玲子シリーズ、青春小説としては「武士道シックスティーン」をはじめとする武士道シリーズなど、幅広いジャンルで話題作を発表し続けている。ほか著書に「歌舞伎町セブン」「感染遊戯」「レイジ」「ドルチェ」「あなたの本」など多数。


主な登場人物:
 
曾根崎栄治 以前勤めていた探偵社“東伸リサーチ”を辞めて独立。「新栄社」という興信所を営む。田嶋のアパートの2階に住む。

田嶋吾郎
妹 美冴
(みさえ)

曾根崎の親友。1階でスナック“グリーン・ペイジ”を営む。
美冴 出戻り、兄の吾郎の店を手伝う。幼い頃から曾根崎栄治と親しむ。

石本真弓

19年前曾根崎栄治と別れた女。当時24歳(栄治28歳)自殺。

村川民代 高校3年生。曾根崎栄治の所を訪れ、高木清彦と由利岳彦の二人を捜すように依頼する。石本真弓の子供と称する。

飯森美津江
娘 彩奈

高木清彦と結婚を約束していた女性。

高木清彦
由利岳彦

一卵双生児。見た目は瓜二つ。二人とも児童養護施設育ち。
清彦は大人しい、気持ちの優しい普通の子。
岳彦は弟思いの大天才少年であった。

大津利彦 帝都医大心療内科の医師。
荻野康彦 警視庁第4強行犯捜査の管理官、警視。OL連続殺人事件を追う。

物語の概要:(図書館の紹介文より)
  
 
拉致監禁。両手親指切断。暴行、そして扼殺。あまりに残虐な殺人事件が世間を賑わせていた時、ひとりの女子高生が俺の前に現れた。「私、たぶん犯人を知ってる」…。ノンストップ恋愛ホラーサスペンス。
 

読後感:

 プロローグでいきなりの登場人物、曾根崎栄治なる「新栄社」という興信所を営む人物、魂の抜け殻、ひからびた雑巾、何かの燃えカスとも見られる男が刑務所で接見、その容疑が1歳にも満たない赤ん坊を手にかけたというショッキングさ。
果たしてこの作品、どういうものなのかと思ってしまう。
 
 誉田哲也という作家の作品、これまでドラマの「ストロベリーナイト」を見、小説では「ヒトリシズカ」の経験がある。本文に入っていくと、ごく普通の、でもちょっと異常の殺人鬼が登場していて、曾根崎栄治なる人物は興信所の探偵としてまともな人物のよう。プロローグは何だったんだろうと。

 後半になってきて、この小説は多重人格でもない、伝奇的小説なんだと思って著者の略歴を再確認。なるほどと思うと同時に、伝奇やホラーでないまともな物(?)での作品も期待したいと思ってしまう。
 なにか迫力のあるサスペンス物が期待できそうであるのだが。

   


余談:
 
 作家の作品には色々な種類のものが存在するのは容易に想像できる。フィクションである限り。でもそこに流れる思想というか、根の部分は自然と出てくるであろう。誉田哲也という作家の本質はどのような物なのだろうかとふと感じてしまった。
背景画は本作品の内表紙を利用して。
 

                               

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